知れば知るほど奥深い水の世界へようこそ!
『みずとはなんじゃ?』かこさとし文、鈴木まもる絵、小峰書店、2018 amazon
顔を洗ったり、うがいをしたり……、生活するのに必要不可欠な水。『みずとはなんじゃ?』は、水とはどのようなものなのか、その性質について、子どもにも分かりやすく科学的に描かれた絵本です。
水の三態変化から、地球規模での水の役割についてまで、知れば知るほど「水」について興味が広がる一冊です。
2018年5月に亡くなったかこさとしさんの最後の絵本で、絵は、絵本作家であり鳥の巣研究家としても活躍されている鈴木まもるさんが描いています。
「たとえ」が魅力的な水についての表現法!
水は、とても身近にあるけれど、説明するのは意外と難しいもの。けれど、この絵本を読むと、「ああ、そうそう、そういうこと!」と、内容がするりと頭の中に入ってきます。
私がすばらしいと思ったのは、かこさんの「たとえ」。
たとえば、水が水蒸気や氷に変わる性質について、忍者や芝居の役者をたとえに使っていて、とてもイメージが湧きやすいのです。かこさんの「子どもに伝わるように」という工夫を感じ取ることができます。ユーモアもあふれていて、親しみを持てますね。
絵と文の相乗効果で、読者を「水」の世界へ!
奥付のページに掲載されている、かこさんと鈴木さんの打ち合わせ中のツーショットを見て、私は「この、かこさんに自然に寄り添う鈴木さんの雰囲気が、そのまま絵にもつながっているんだな」と思いました。
動物や子どもの表情一つひとつまで、生き生きと描く鈴木さんの絵は、かこさんの文を引き立て、不思議で偉大な水の世界へとどんどん読者を引き込みます。
水の性質を知るうちに、私たちの住む地球のことも大切に思えてくる。多くの子どもたちに届けたい一冊です。
にこっとポイント
- 読み終わった後、地球を大切に思えます。
- 細かく絵を見ていくと、かこさんの他の絵本のキャラクターも、登場していますよ!
- 絵本ができるまでの詳しい経緯について、初回特典の冊子「かこさとしさんからのおくりもの『みずとはなんじゃ?』ができるまで」や「かこさとし公式Webサイト」等で読むことができます!
(にこっと絵本 SATO)
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