宇宙ステーションから、黄色い宇宙船― スクールスペースシップが飛び立ちます。そして、月に着陸! 先生の後に続いて、宇宙服を着た子どもたちが降りてきます。

みらいのえんそく

『みらいのえんそく』ジョン・ヘア作、椎名かおる文、あすなろ書房、2019 amazon

青い地球に喜ぶ子どもたちをよそに、地球をスケッチする子が一人。クラスの輪からも外れがちです。しかも、その子がうとうとしているうちに、気がつくとみんなが乗った宇宙船は飛び立っていってしまいました。

「しょうがない」「えでもかこう」そうして、また絵を描きはじめた子の後ろに顔をのぞかせたのは……?

灰色の世界にあらわれた、鮮やかな色― 一人の子と月面人の出会い

クレーターや小高い山の間を抜け、割れめもピョーンと飛び越えて、青く輝く地球を眺める。この絵本のように、学校の遠足でこんなに気軽に月の探検を楽しめたら……と思うと大人も子どももワクワクしてしまいますね。

そんな中訪れる、子どもと月面人の出会い。月面人は、月の世界と同じ灰色の体に、ひとつ目、様々な形で個体差はあるものの、みんなひょうきんでかわいらしい表情です。

月面人たちは、クレヨンに興味津々。「ヘイ!」「ヘイヘイ!」と大盛り上がりの様子は、とても楽しそう。しかも、「ヒュー」「ピューイ」と話す言葉も、なんとなく意味が伝わってくるから面白いのです。

ラストでお迎えが来て、子どもは帰っていきます。きっと月では、残されたクレヨンで鮮やかな絵がこれからも月面人たちの手によって描かれるのでしょう。

みらいのえんそく_中ページ

宇宙船で帰路につく子どもの手に残ったのは、灰色のクレヨン一本。けれどきっと心の中には、月面人たちとのひと時が鮮やかに残ったはず。

一つの出会いが、二つの意味で灰色だった世界をカラフルにしたのだと、この絵本を読んで感じます。そんな出会いに、心のあたたまる素敵な絵本です。

にこっとポイント

  • 春、秋の遠足シーズンの読み聞かせにいかがでしょうか。
  • 短い言葉で、文章も少ないです。絵がかわいらしく見やすいので、小さいお子さんにもわかりやすいです。
  • 月面着陸達成から50周年の2019年に発売されたばかりの絵本です。月への思いをはせるきっかけになりそうですね。

 

(にこっと絵本 Haru)

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