短大・専門学校の2年生、あるいは大学の4年生は、卒業の時を迎えますね。
幼稚園や保育園にはあなたを待っている子どもたちがいます。今までの学びや体験を土台にして、これから出会う子どもたちに優れた絵本を選び、読んであげてください。
今まではおすすめの絵本をご紹介してきましたが、今回は「絵本の選び方」について述べたいと思います。
1. 子どもたちの興味・心情・発達や季節に合ったものを選ぶ
まずは、子どもたちとの関わりの中から、彼らの興味関心・心情を探り、その発達や季節に合ったものを選ぶことです。
たとえば、入園や進級当初は、新人保育者だけではなく、子どもたちも緊張しています。
したがって、相互に心が通い合う絵本がいいですね。そのためには、あなたご自身がたくさんの絵本に目を通しておくことが大切です。
なお、4月の0〜2歳児には、無理に読まなくてもいいと思います。入園・進級したてで、園環境にも慣れていませんから、信頼関係・人間関係を構築することの方が大事な時なのです。
2. ロングセラーの絵本を選ぶ
ロングセラー絵本とは、長い期間に渡って書店で扱っている絵本のことです。絵本の奥付けで初版年を確認することができます。
皆さんがよくご存じの『ぐりとぐら』は、1963年にデビューした絵本で、来年2023年には、還暦を迎えるロングセラー絵本です。日本だけではなく、諸外国の言語に翻訳されて、世界中の子どもたちに愛されている、と言っても過言ではないでしょう。
このような絵本が、日本にはたくさんあります。外国に目を向ければ、前回ご紹介した『根っこのこどもたち目をさます』や『もじゃもじゃペーター』(フェリクス・ホフマン作・絵)は100年以上経っています。
3. そして、何よりもあなたが好きな絵本を選ぶ
個人で楽しむときは、どのような視点で選んでもかまいません。しかし、保育で読むときは一考を要します。
「絵がかわいい!」だけで選ぶのは、控えてほしいものです。(1)で述べたように、対峙している子どもたちのことを考えて選んであげてください
たとえば、4月の3歳以上の子に読むなら……
- 『おおきくなるっていうことは』(なかがわひろたか文、むらかみおやすなり絵、童心社)
- 『ぐるんぱのようちえん』(にしうちみなみさく、ほりうちせいいちえ、福音館書店)
- 『だめよ デイビッド』(デイビット・シャノン作・絵、小川仁央訳、評論社)
- 『はじめまして』(しんざわとしひこ作、大和田美鈴絵、鈴木出版)
- 『むしがこんなことしていたよ ちいさなかがくのとも2018年4月号』(越智典子文、サイトウマサミツ絵、福音館書店)
- 『ともだちや』(内田麟太郎作、降矢なな絵、偕成社)
今回はあえて、内容には触れていません。ぜひ! ご自身でチェックしていただきたいと思います。
(寄稿: 絵本専門士<東京都> 鴫原晶子 / 保育者養成校講師)