隣の山からつぐみが「もみじのてがみ」を運んできました。
『もみじのてがみ』きくちちき作、小峰書店、2018 amazon
受け取ったねずみはこう言います。「あ、もみじのてがみ ゆき ふるの?」
秋から冬に移り変わろうとするこの季節、自然の産物を手紙として表現しているところがとっても素敵な作品です。
物語は、きくちちきさんらしい大胆な構図で展開していきます。ねずみは自分の住む山にももみじがないか探しに出かけます。赤いものを見つけては「あかい あかい」と喜ぶのですが、残念……。きのこだったりつばきだったり、なかなかもみじが見つかりません。
そうしてようやく見つけたもみじの、美しいこと! パッと広がる赤い景色は、思わず息をのむほどです。
きくちちきさんの絵は、少し離れてみることでさらに広がりを感じてどっぷりその世界観に浸れるような気がします。誰かに読んでもらうのもおすすめです。
テキストもシンプルな繰り返し。テンポよく読んでいくと、出てくる動物の愛らしさがさらに増します。
自然が美しいこの季節。その美しさを描いた絵本から、秋を満喫するのもいいものですよ。
にこっとポイント
- もみじを手紙ととらえた素敵なこの作品、大胆な構図の絵が美しく、少し離れて見るとさらに広がりが感じられます。
- 表紙がとにかくかわいい! 登場する動物や「あかいもの」達が勢ぞろいしています。お部屋に飾りたくなるほどなので、プレゼントにもおすすめです。
きくちちきさんの他の絵本は……
(にこっと絵本 森實摩利子)