『おふろにはいろ』は、たまねぎ、とうもろこし、バナナなど、身近な食べものたちがお風呂に入る姿を描いた、赤ちゃん絵本です。
『おふろにはいろ』三浦太郎、童心社、2020 amazon
ページを開いて最初に登場するのは、小さなメガネをかけた、たまねぎのばあさんです。
「すすすすす たまねぎの ばあさん ふく ぬいで」「おふろに はいろ あ~ いいゆだな」― たまねぎのばあさん、とっても気持ちよさそう!
次に登場するのは、とうもろこしの母さん。さて、とうもろこしの母さんは、服を脱いで、どんなお風呂に入るのかな?
この絵本の文は、それぞれの食べものが出てくる冒頭部分に、「すすすすす」「ららららら」「ぱぱぱぱぱ」など、連続する5音が入っていることで、声に出して読んだときの響きが楽しくなるように工夫されています。
絵は、白い背景に色鮮やかな食べものが描かれていて、どのページもはっきりと見やすいのが特徴です。
また、描かれた食べものの「皮」を「服」と表現し、人間のように服を脱いでからお風呂に入る流れも、ユーモラス! 服を脱いでいる場面で見開き1ページ、お風呂に入っている場面で見開き1ページと、見開き2ページに、ひとつの食べものが描かれている構成になっているので……
わくわくしながらページをめくることができます。
木のたらいのようなお風呂、ピンク色のバスタブや岩風呂まで、食べものが入るお風呂もさまざまなので、「どんなお風呂に入るのかな?」という空想も楽しめますよ!
イヤイヤ期にお風呂を嫌がった娘さんへの思い
巻末の「著者のことば」には、作者・三浦太郎さんの娘さんが、イヤイヤ期に特に嫌がったのがお風呂であったことが書かれています。
三浦さんが「おふろは楽しくて、あったかいよ」と娘さんに語りかけていたときの気持ちでつくった、愛情がたっぷり込められたこの絵本。
同じように、子どもがお風呂に入るのを嫌がって困ったら、お風呂の時間の前に、ぜひ『おふろにはいろ』を親子で読んでみてくださいネ。裏表紙に描かれたバナナの親子のお風呂を出た後の姿も、ほほえましいです。
にこっとポイント
- いろいろな食べものが服を脱いでお風呂に入る様子を描いた、くり返し読んでも楽しい赤ちゃん絵本です。
- 作者である三浦さんが、イヤイヤ期にお風呂を嫌がった娘さんに「おふろは楽しくて、あったかいよ」と語りかけていたときの気持ちでつくったという、愛情がたっぷり込められた絵本です。
- 『おふろにはいろ』は、童心社の「あかちゃんととととと」シリーズの絵本です。
(にこっと絵本 SATO)