PICK UP! ハロウィンに読みたい絵本

昔、ある国のお城に、公爵と公爵夫人と13人のひめさまたちが住んでいました。

とびらのむこうにドラゴンなんびき?

『とびらのむこうに ドラゴンなんびき?』ヴァージニア・カール作、松井るり子訳、徳間書店、2022 amazon

ある日、ひめさまたちは、森の手前の野原まで遊びに出かけることにしました。

ひめさまたちは、二人ずつ手をつないで歩きます。でも、13人目のガンヒルダは、ひとりぼっち。ちっとも楽しくありません。

とぼとぼ歩いていたガンヒルダは、森のはずれで、優しそうなドラゴンと出会います。

ドラゴンとすっかり仲良くなったガンヒルダ。お母さんからは、森の動物を連れてきてはいけないと言われてはいたけれど、お城に連れて帰りたくなってしまいます。

ひめさまたちは、みんなで相談し、お城の一番高い塔にドラゴンを隠すことにしました。ドラゴンのために、毎日こっそり甘いパンやケーキを運んでいると、ドラゴンは、ますます大きくなって……。

この絵本は、グリーン系の色でまとめられた表紙が、とても印象的です。大きな扉の下に描かれているのが、13人のひめさまたち。緑色のバックに、ひめさまたちの頭と足の赤色はとても目立ちますが、この「緑」と「赤」の組み合わせが、絵本の中の絵でも、とても素敵に使われています。

また、イメージがどんどんふくらむ文章も、魅力的です。特に、公爵と公爵夫人が13人のひめさまたちを呼び集める場面、ひとりぼっちのガンヒルダがドラゴンと出会う場面、ひめさまたちが相談してドラゴンを城へ隠すまでの場面などは、細かく描写されているので、読者は、自然にどんな状況なのかを思い浮かべることができます。

さて、ドラゴンは結局公爵たちに見つかってしまうのですが、おいしいケーキなどで大きくなりすぎたドラゴンは、お城から出ることができるのでしょうか? 注目です!

にこっとポイント

  • 13人のひめさまが、森からお城へ連れて帰ったドラゴンのユーモラスな物語です。作者は、図書館員としての勤務経験を持つ、ヴァージニア・カールです。
  • 同じく13人のひめさまが主人公の『公爵夫人のふわふわケーキ』(平凡社)も、おすすめです。

(にこっと絵本 SATO)

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