PICK UP! クリスマスの絵本
ホームランを打ったことのない君に

『ホームランを打ったことのない君に』長谷川集平作、理論社、2006 amazon

思い切ってバットを振ってみろ、という監督のことばに、気合を入れてバットを振った結果は、ボテボテのセカンドゴロ。

試合で活躍できず、落ち込むルイに声をかけたのは、かつて野球で活躍していた近所のお兄さん・仙ちゃんでした。

仙ちゃんは、ホームランを見たときの感動を語ってくれます。仙ちゃん自身も打ったことはないというホームラン。仙ちゃんは「オレだってまだあきらめてないぞ」と語り、別れたあとも、公園で一人バッティングホームをくり返します。

その後ルイは、仙ちゃんが事故で怪我をし、リハビリをしていることを知ったのでした。

野球が好きな人は、ホームランが打ちあがった瞬間の、あの独特の感動をきっと体感したことがあるでしょう。

実は、わたしもソフトボールの経験があるので、プレーヤーとして、その感覚は少し知っています。でも、わたし自身もホームランバッターではありませんでした。

それぞれの素質と、チーム内の役割があるのは理解していたし、自分の役割に誇りも持っていましたが、やはり4番をはるようなバッターの活躍が、羨ましいと感じたことはあります。

そして、「ホームラン」=「成功」と考えてみると、それは野球以外のことにも通じると思います。

あなたにとっての「ホームラン」とは何でしょうか。

あっという間に場外に消える、大きなホームラン。その一打のために、どんな苦悩を得て、どんな努力を積み重ねたら、私たちはそこに辿りつけるでしょうか。

その道筋も、方法も、きっとこの絵本を開いた人の分だけあると思います。ホームランは、一朝一夕には打てないものです。あきらめずに積み重ねる努力と経験が、きっとその大きなアーチにつながると信じ続けたい。

この絵本を開くと「まだまだ頑張れるぞ!」と勇気がわいてくるはずです。

挑戦することに尻込みしそうになったときには、ぜひ「始める前からあきらめるのかい」という仙ちゃんのことばを思い出してみてくださいね。

にこっとポイント

  • 野球で思うように活躍できない少年と、怪我をしてもあきらめずに復帰を目指す青年との交流から、あきらめずに努力し続ける勇気をもらえます。
  • ルイが最後に見る、仙ちゃんのホームランの夢がまた素敵です。努力を続ける誰かの成功を願えたら、きっと自分自身の努力をする原動力にもつながるはずです。

(にこっと絵本 Haru)

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