PICK UP! みんなでワイワイ読みたい絵本

カミラは、リマ豆が大好きな女の子。でも、みんながリマ豆を嫌いなので、絶対に食べようとしません。

そんなカミラでしたが、いつもよりずっと緊張していた新学期の第一日目に、なんと頭のてっぺんからつまさきまで、色とりどりのしまもようになってしまいます。

ストライプ

『ストライプ たいへん! しまもようになっちゃった』デヴィッド・シャノン文・絵、清水奈緒子訳、セーラー出版、1999 amazon

旗を見れば、星条旗のような赤青のしましま(星付き)に、誰かが何かを言えばその通りに、カミラの姿は変わってゆくのでした。

しましまがうつるのを案じた同じ学校の子の親たちからのクレームにより、カミラは学校に行かれません。医者・科学者・植物学者・超能力者や宗教家などがやってきても、事態は悪化するばかり。

そして、とうとう、環境セラピストのことばによって、カミラは部屋と一体になってしまいます。

さて、エンディングを少しお話しますと、カミラは、「ほんとうの」カミラが見つかることで、無事元の姿に戻れました。

でも、「ほんとうの」カミラって、誰なのでしょうか。そして、どこにいたのでしょうか。

「他人が言った通りの姿になってしまう」って、怖いものですよね。

でも、大なり小なり、誰にでも思い当たることがあるような気がします。

カミラは、みんなと同じでいたいと思いました。カミラはいつも、ほかの人の目ばかり気にしていました。

カミラの「ほんとう」は、リマ豆が大好きで食べたい、ということ。

でも、自分の「ほんとう」がわからなくなってしまうときだって、きっとあるでしょう。もしそんな状態でしまもよう病にかかったら、治るのには、カミラよりもっと多くの時間が必要になるのかもしれません。

そして、もし、変わるのが目には見えない心だとしたら……。

他の人の目が気になるのは当たり前かもしれないけれど、本当の自分も大事にしてほしい― そんな気持ちをこめて、小学校中学年から、中学生・高校生にもおすすめしている絵本です。そしてもちろん大人の方にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。

にこっとポイント

  • 人の目を気にし過ぎたカミラの姿が、他人のことばでどんどん変わってしまうお話です。
  • 濃いめの絵はわかりやすくインパクトがあり、大人数への読み聞かせにも適しています。
  • 小さなお子さんの場合、怖さだけが印象に残ってしまうことがあるようです。読む前に、年齢や内容が理解できそうかどうかなど、考えてみてくださいね。

(にこっと絵本 高橋真生)

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