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『鳥の巣ものがたり』の表紙には、巣の中の卵を囲むさまざまな鳥たちの姿が描かれています。巣の中に大事に抱かれた一つの卵は、地球のようにも見えます。

鳥の巣ものがたり

『鳥の巣ものがたり』鈴木まもる作、偕成社、2007 amazon

鳥の巣は、春になって鳥が卵を産むとき作るものです。

鳥たちは、さまざまな材料で巣を作ります。たとえば、枯れ草やヘビの抜け殻。コケを剥がして、クモの糸で絡めていく、なんてこともしてのけます。

卵を守るために、巣を作る場所も工夫しています。水に浮かぶ巣、高いところから垂れ下がった巣、枝の間にハンモックのようにくっついている巣― 新しい命を鳥たちがどのように育み、工夫をしながら命をつないでいっているのか、その知恵と神秘を、流麗な絵で読むことができます。

鳥たちの巣の材料は、草や毛、羽などいろいろです。鳥がうむ、卵の大きさや数、色や模様もいろいろです。でも、卵のなかのたいせつなヒナのいのちを あんぜんにそだてる、というところはみんなおなじです。

一つとして同じもののない、でもたくさんの工夫の詰まった巣。そして、その中に大事に守られた大小さまざまな美しい卵たち。それらは、子育ては一つとして同じではないということを教えてくれます。

鳥たちの巣作りは、子どもたちを育む家庭の在り方にも通ずるところがあるように感じます。

多種多様な鳥の巣の並ぶページでは、誰と同じでもない、私の子どものための、私の子育てでいいんだよ、と背中を押してもらえたような気持ちになりました。

それぞれの家庭の形、それぞれの子育ての形までも肯定してくれるような鳥たちの巣作りを、ぜひこの絵本でじっくり堪能してみてくださいね。

にこっとポイント

  • 新しい命を鳥たちがどのように育み、工夫をしながら命をつないでいっているのか、流麗な絵で読むことができます。それぞれの家庭の形、それぞれの子育ての形までも、肯定してもらえるような気持ちになります。
  • 作者は、鳥の巣研究家として、鳥に関する著書を多く出版されている鈴木まもるさんです。その情熱はこの絵本にも流麗で細かな鳥や鳥の巣の描写にも表れています。さまざまな鳥の巣の姿を詳しく知り、堪能することができます。

(にこっと絵本 Haru)

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