
『こねこのチョコレート』B・K・ウィルソン作、大社玲子絵、小林いづみ訳、こぐま社、2004 amazon
ジェニーは4歳の女の子です。弟のクリストファーの誕生日プレゼントに、素敵な箱に入った8個入りのこねこのチョコレートを買いました。
しかしその晩、ジェニーは、そのチョコレートが気になって眠れなくなってしまいました。
一つだけなら、と口に入れてベッドに戻りますが、残りのチョコレートのことを忘れることができません。結局、すべて食べてしまったジェニーは、クリストファーの誕生日をどのように過ごしたのでしょう。
子どもらしい葛藤と、家族のあたたかさ
この絵本には、家族のイベントを心を込めて準備しながら迎える様子が、4歳のジェニーを中心に描かれています。
さまざまなおもちゃ、キャラメルにドロップ、子どもにとって魅力的なものばかりのお買いもの。ジェニーもお母さんも、大切なクリストファーのために、丁寧にプレゼントを選びます。
そしてお誕生日当日、家族からクリストファーに手渡されるプレゼントは、子どもならウキウキするようなものばかり。
その造形や動き、遊び方まで、まるで子どもの目を通して語られるように、詳細に魅力たっぷりに描かれています。
そんなふうに、子どもの目線に寄り添った物語ですので、ジェニーのチョコレートへの葛藤にも、とてもよく共感できます。
一つ、また一つと我慢できずとうとう食べ切ってしまったときには、「ちょっと気持ちが悪いなぁ」という、後悔と満腹感の入り混じった、なんともすっきりしない後味となるのでした。
そんな小さな子どもらしい苦い経験も、ジェニーの家族はあたたかく包み込んでくれます。どんな結末になったかはぜひこの絵本にふれてみてくださいね。
にこっとポイント
- 4歳の女の子の、等身大のときめきと葛藤が描かれています。そんな女の子を包みこむ家族のあたたかさを感じることができます。
- 誰かのために、心を込めて贈り物をするような、あたたかな気持ちを思い出させてくれます。
(にこっと絵本 Haru)