お年賀に暑中見舞いと、かつては子どもでも季節のやり取りをする機会があったものですが、今はそんな習慣もかなり減ってきているよう。でも、手紙には、メールやLINEとはまた違ったうれしさがあるように思います。
そこで、今から、読むと手紙を書きたくなる絵本をご紹介します。会いたくても会えない人、なんとなくご無沙汰している人、それから毎日顔を合わせる家族や友だち― 真っ先に思い浮かんだ「あの人」に、ぜひお便りしてみてくださいね。
ゆうびんやさんのホネホネさん
『ゆうびんやさんのホネホネさん』にしむらあつこさく、福音館書店、2003 amazon
ホネホネさんは郵便屋さん。ギコギコキーッ、と自転車をこぎ、木の上、土の中と、どんなところへでも、手紙を届けてくれます。モノクロの線で描かれたインパクトのある(でもほのぼのした)絵も、ユニークな登場人物たちのお手紙も、何もかもが楽しい絵本です。3歳から。
てがみはすてきなおくりもの
『てがみはすてきなおくりもの』スギヤマカナヨ著、講談社、2003 amazon
葉っぱの手紙に、おまけつきの手紙。こんな手紙もあるんだと、手紙の可能性を教えてくれる絵本。手紙を書くことを、ちょっと堅苦しく、難しく考えてしまう人にはぜひ読んでいただきたいです。この絵本をヒントにアイデアを膨らませて、素敵な手紙を書いてくださいね。4歳から。
はるとあき
『はるとあき』斉藤倫・うきまる作、吉田尚令絵、小学館、2019 amazon
会ったことのない、「はる」と「あき」。はるはなつに、あきはふゆに手紙を託し、文通を始めます。相手のことを一生懸命考えるはるとあきに、読み手の心もふんわりとあたたかく、優しくなります。それぞれの季節も美しく、プレゼントしたくなるような絵本です。5歳から。
きょうはなんのひ?
『きょうはなんのひ?』瀬田貞二作、林明子絵、福音館書店、1979 amazon
「きょうはなんのひ?」と謎を残して登校したまみこ。実は、家のあちこちに手紙が隠してあるのです。手紙には、次の手紙のある場所のヒントが書いてあるので、お母さんは家中を探し回るのでした。さて、今日は何の日? 次はどこにあるかなとワクワクするのはもちろん、絵の隅々にまで遊びがあるので、1冊丸ごと楽しめます。あたたかで幸せな気持ちになる絵本です。5歳から。
こんにちは おてがみです
『こんにちは おてがみです』中川李枝子〔ほか〕著、福音館書店、2006 amazon
ぐりとぐらやばばばあちゃんなど、「こどものとも」の人気者から、お手紙が届きました。貼り付けてある封筒を開き、便箋を出して読めるようになっているのですが、さらに封筒には宛名(読み手の名前)も書けるのです。プレゼントにもぴったりの絵本です。
※小さな子どもたちにとって、絵本の登場人物は、近しい友人です。読むタイミングは、お手紙の差出人の絵本を読んでから、がおすすめ。お手紙をくれるのは、ぐりとぐら、あさえ、だるまちゃん、まゆ、ばばばあちゃん、きつねのきっこ、おおかみ(『やっぱり おおかみ』より)、たろう、エンソくん、やなぎむらのむしたちで、配達してくれるのはホネホネさんです。
『こんにちは おてがみです』を読んで出会った登場人物の絵本を後から読む楽しみもありますが、何人かは先に知っておいた方が「あの〇〇からお手紙が!」という喜びを味わえると思います。
お知らせ
私・高橋真生が、朝日新聞EduAで、手紙についてお話した記事が公開されています。あわせてご覧いただけたらうれしいです。
→ 「手紙」で磨く4つの力 何から始めれば? 注意点は……楽しく書くコツ
(にこっと絵本 高橋真生)