PICK UP! 心もからだもあたたまる絵本

今日、誰かに「ありがとう」を言いましたか?

「ありがとう」と言ってもらったときに「どういたしまして」と答えましたか?

『ありがとう… どういたしまして』のジミーくんは、みんなに何かをしてもらったら、いつでも忘れず「ありがとう」と言います。

ありがとう…どういたしまして

『ありがとう… どういたしまして』ルイス=スロボトキン作、わたなべしげお訳、偕成社、1969 amazon

そうするとみんなは「どういたしまして ジミーくん」と答えてくれます。だから、「ジミーくんは いつも ごきげん。ジミーくんは よいこ」なのです。

そんなジミーくんですが、ある日突然「ありがとう」と言わなくなってしまいました。「ありがとう」ではなくて、「どういたしまして」と言ってみたくなったからです。

ママは、教えてくれました。

ジミーが、ほかの ひとに しんせつにしてあげれば、
みんな 『ありがとう。』って いうでしょ。
そしたら ジミーが、 『どういたしまして。』って いえば いいのよ。

ジミーくんは、いつでも忘れず「ありがとう」「どういたしまして」と言えるようになりました。

この絵本は、作者のスロボトキンが、「ありがとう」「どういたしまして」の使い方がわからなくなったお孫さんのために書いたものです(絵本前書きによる)。

大人にとってごく普通のあいさつも、小さな子が混乱してしまうようなことはよくありますから、大人も子どもも「わかるな~」という気持ちが湧くのではないかと思います。

また、礼儀やマナーを教え込むような絵本ではありませんが、子どもたちは、「どういたしまして」をマスターしようとするジミーくんを応援しながら、自分たちも「ありがとう」「どういたしまして」と言いたくなるでしょう。

「どういたしまして」と言えるのは、誰かが「ありがとう」って言ってくれるから。

「ありがとう」と言えるのは、誰かが親切にしてくれるから。

ジミーくんがいつもご機嫌なのは、こんな幸せがぐるぐる回っているからなのですよね。

さて、あなたはいかがでしょうか。

今は、大人同士の場合は、「どういたしまして」よりも、「恐縮です」「こちらこそ」などと言うことが多いのかもしれませんが、「どういたしまして」も、ぜひ使ってみてくださいね。

「親切失敗」と「ありがとう」― 6歳の子の感想

6歳の子とこの絵本を読んだときのことです。

ジミーくんがおまわりさんにかさを貸してあげるシーンがあるのですが(ちょうど表紙の絵です)、そこでその子は、「これ、親切失敗だね」と言いました。

こんな小さなかさを貸してもらっても入れないから邪魔なだけ、という指摘です。

でも、おまわりさんは笑顔ですよね。

その子は、その様子をしみじみ見ながら、「おまわりさんは優しい」「(自分なら)『入れないよ!』って絶対言う」などと感心したり笑ったりしていました。

そして、「かさを貸すよって言ってもらったらうれしいから、失敗じゃないのかな」とにっこり。

ひとつのシーンから、さまざまなことに思いを巡らす姿に、私もうれしくなりました。

もう少し小さい子は、ジミーくんと同じように「ありがとう」「どういたしまして」について学べますし、大人になら、ジミーくんの愛らしさにきっと頬が緩んでしまうでしょう。

1969年発行のロングセラー、何度でも読み返したい絵本です。

にこっとポイント

  • 子どもの心の動きをすくい上げて絵本にしたような作品です。「ありがとう」「どういたしまして」の幸せな循環にうれしくなります。
  • シンプルながらあたたかく表情豊かなイラストと、やわらかなことば遣いで、大人の方にも喜ばれています。
  • 姉妹編に『ごめんなさい! だいじょうぶ!』があります。

(にこっと絵本 高橋真生)

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