PICK UP! ハロウィーンと魔女の絵本

絵本との出会いのチャンスは、いろんなところに転がっているものです。

自分のおススメの本を紹介する、とある会に参加した時のこと。参加者の女性が、私が絵本の活動をしていることを知って教えてくれたのが、この作品。

うたうしじみ

『うたうしじみ』児島なおみ作・絵、偕成社、2005 amazon

若いころはいたずらで、けんかばかりしていた魔法使いも、今ではすっかりしょぼくれているようです。この魔法使いは、なぜか関西弁のねこ・トラジと一緒に暮らしています。

ある日、魔法使いが夕食にしようと買ってきたしじみ。ボールの中で小さないびきをかきながら安心しきって寝ている様子を眺めているうちに、なんだかかわいそうになって、食べられなくなってしまいます。

次の日も、相変わらず食べる気になれなかった魔法使いですが、しじみたちはようやく自分の置かれた現状に気づいたのでした。

大泣きするしじみたちに、魔法使いは、なんとかして海に返してあげると約束してしまいます。

魔法使いだから魔法を使うのかと思いきや、長年使ったほうきはボロボロで、飛ぶこともできません。

汽車で海まで帰そうか? でも、汽車賃は今のままではとても足りない……。

そこで魔法使いは資金を募るため、街角に立つのですが……。さあ、しじみは海に帰ることができるのでしょうか?

海

魔法使いのあたたかさ。トラジのぶっきらぼうな中にある優しさ。しじみたちの疑いを知らない真っ直ぐな心。

ひょんなことから心を通わせてしまった、魔法使いとねことしじみ。

不思議な取り合わせが過ごした時間は、私にいろんな感情を抱かせてくれました。

久しぶりに、「しみじみ」と心がホッとする絵本に出会えました。

にこっとポイント

  • ひょんなことから心を通わせてしまった、魔法使いとねことしじみの物語です。
  • ふり仮名はありますが文章は漢字で書かれ、線画のイラストからは無限のイメージも膨らみます。子どもにもいいですが、この作品の奥深さは、おとなにこそ手に取って読んでもらいたいです。



(にこっと絵本 森實摩利子)

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