読み終わった後、あなたはどんな気持ちになるのでしょうか?
やさしいたんぽぽ1

『やさしいたんぽぽ』安房直子文、南塚直子絵、小峰書店、2018  amazon

日が暮れた春の野原に、女の子が一人、立っていました。女の子は、白い子猫を抱いています。お母さんには、子猫を野原に捨ててくるようにと言われています。捨てられた子猫のことを思い女の子が泣き出したそのとき、足元のたんぽぽが、ぴかっと光って……。

不思議な世界へといつの間にか導いてくれる安房直子さんの文と、場面の一つひとつにあたたかさが込められた南塚直子さんの絵が、美しい素敵な一冊です。

読後に残る余韻が『やさしいたんぽぽ』の魅力!

どうしても子猫を捨てることができない女の子。どうにかしてあげたいけれど、自分ではどうしようもないのです。身動きが取れなくて、思わず「だれか たすけて」と助けを求めた女の子に、たんぽぽが寄り添います。犬や猫が野原に捨てられる日に光るたんぽぽ― タイトルの通り、本当に「やさしいたんぽぽ」なのです。

物語は、静かに淡々と進みます。「女の子はこう思いました」などと、具体的に女の子の心情が書かれているわけではないのですが、女の子の気持ちがしっかりと伝わってきて、いつの間にか物語に引き込まれていきます。

さて、女の子は、子猫は、どうなるのでしょうか?

読み終わり、絵本を閉じた後も、物語の余韻が心に残ります。「悲しさ」「寂しさ」「切なさ」「やるせなさ」「嬉しさ」「あたたかさ」「美しさ」「安心感」「希望」「願い」……、あなたは、どのような気持ちになるのでしょうか?

原版と新装版、どちらもおすすめです!

『やさしいたんぽぽ』の原版は、1985年に出版されています。最初に紹介した表紙は、こちらの原版を銅版画で描き直した新装版です。

やさしいたんぽぽ2

絵本のサイズも、原版25×19cm、新装版28×22cmと、新装版の方が大きくなっています。

表紙の絵を見比べてみると、原版と新装版では、黄色いたんぽぽの大きさや色の濃さ、また、女の子の表情や子猫の描かれ方も、少し異なっています。どちらも味わいがあって美しいので、雰囲気の違いを見比べてみるのも楽しいですよ!

にこっとポイント

  • 読後に感じる余韻が魅力的な絵本です。
  • 幅広い年齢層で読むことができ、大人が読んでも心に響く物語です。
  • たんぽぽの花がたくさん咲く春にぴったりの絵本です。
  • 安房直子さんと南塚直子さんコンビの絵本には他に、『うぐいす』『うさぎのくれたバレエシューズ』『つきよに』などがあります。

 

(にこっと絵本 SATO)

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