三寒四温の頃になりました。庭の植物もずいぶんと様変わりし、ここ、高知では、オオイヌノフグリやたんぽぽが咲いているのが見られるようになりました。
たんぽぽを見かけると、思い出すのがこちらの絵本『たんぽぽはたんぽぽ』。
『たんぽぽはたんぽぽ』おくはらゆめ作、大日本図書、2015 amazon
たろうくんが遊んでいると、すずめがやってきます。
なんていっているのかな? 聞こえてきたのはこんな内容でした。
「たんぽぽは たんぽぽ
たんぽぽは たんぽぽ
たんぽぽは たんぽぽ」
すると、たんぽぽはふんわりさせていたはなびらを、ぴん、ぴん、ぴーんとのばしたのでした。
たんぽぽから始まった掛け声は、ありんこ、ねこたち、そしてたろうくんへと繋がっていきます。
掛け声をもらったみんなが、それぞれ背筋を伸ばし、張り切って自分らしさを表現するのです。
たろうくんは、少し恥ずかしかったのですが、みんなに励まされ、勇気を出して「えいやあ」とでんぐりがえし。
「たんぽぽはたんぽぽ」
「すずめはすずめ」
「たろうはたろう」
そこに存在するありのままで、精一杯生きる。
そんな力強いメッセージが、この短い言葉に込められている気がします。比べるのではなく、それぞれが、それぞれでいいのだ。
そして、この絵本を読むときには、金子みすゞさんの詩も合わせて味わいたいものです。
『私と小鳥と鈴と』
私が両手をひろげても
お空はちっとも飛べないが
飛べる小鳥は私のように
地面を速く走れない
私がからだをゆすっても
きれいな音は出ないけど
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ
鈴と、小鳥と、それから私
みんなちがって、みんないい
にこっとポイント
- 春を待つ今のシーズンにぴったりの一冊。おはなし会や、卒園卒業の子どもたちへのメッセージとして贈るのもステキですね。
(にこっと絵本 森實摩利子)