『はるとスミレ』eto、偕成社、2022 amazon
はるちゃんは、ちっちゃな女の子。お花が大好きで、毎日、庭へ出て「なんのはなが さいているかな?」と探検します。
ある日、はるちゃんは、一番好きなスミレの花を鉢に植え替えて、庭から自分の部屋に持っていきました。「これで いつも いっしょだね」
さて、今夜は、紫色の満月の日。紫色の月の光が、部屋の中に入ってくると……、鉢に植えられていたスミレの花が動き出しました。
スミレの花は、「はるちゃん、つきよのおさんぽに いきましょう」と、はるちゃんを誘います。そして二人は外へ出て、夜の散歩へしゅっぱーつ!
二人は、どんな探検をするのでしょうか? また、どんな発見があるのでしょうか?
『はるとスミレ』の最大の特徴は、色遣いです。特に、黄色とすみれ色の配色は、とても素敵。
最初の、大部分に黄色が使われているページは、開くとぱっと一面明るくなり、はるちゃんがお花のことを大好きな気持ちが伝わってきます。そして、二人でお散歩へ出掛けてからの場面では、黄色が暗い夜を照らす灯りのような役割も担っていて、幻想的に感じられます。
そして、はるちゃんとスミレちゃんの会話には、とてもわくわくします。
一番楽しいことは植物とおしゃべりすることだというスミレちゃんに、「どうやって、おしゃべりしているの?」と聞く、はるちゃん。読み進めていくうちに、読者も、いつの間にか、いろいろな植物の声が聞こえてくるような気がしてくる物語です。
にこっとポイント
- 春生まれの主人公はるちゃんと、スミレちゃんのファンタジー調の世界が素敵な物語です。
- グラフィカルな絵には、「リソグラフ」という手法が用いられています。
- 奥付のページには、著者からのメッセージも書かれています。
(にこっと絵本 SATO)