「てのゆびほどの ちいさいこどもでも ひとりあったら、どんなによかろう」― おじいさんとおばあさんがおてんとうさまに願い、産まれた男の子「いっすんぼうし」のお話。

いっすんぼうし

『いっすんぼうし』石井桃子文、秋野不矩絵、福音館書店、1965  amazon

 

からだが親指くらいしかないいっすんぼうしは、家の手伝いはできず、村の子どもたちからもばかにされます。

そんないっすんぼうしですが、ある日、都にのぼることを決意します。おわんを傘に、箸を杖に、針を刀に、そしてむぎわらをさやにして、さあ出発! 大きな川に、おわんを浮かべ、箸をかいに何日もこぎ続け、ようやく到着した都では、お姫さまを鬼から守り大活躍。

おなじみの昔話を、石井桃子さんの雅で奥ゆかしい文と、秋野不矩さんの情景が広がるあたたかい水彩画で描いた絵本です。

石井桃子さんの日本語の美しさ

特に、石井桃子さんの丁寧で流れるような文のつながりや、豊かな表現力は、読者をいつの間にか『いっすんぼうし』の世界へと引き込んでいきます。

たとえば、都への道中。いっすんぼうしが、「みやこにのぼる かわは どこです?」とありに尋ねたところ、ありは「たんぽぽよこちょう つくしのはずれ」と答えます。

この「たんぽぽよこちょう つくしのはずれ」ということば一つで、イメージがぐっと広がり、季節やその景色が頭に浮かんできませんか?

『いっすんぼうし』の内容を知っている人も、文の表現に注目しながら読んでみるのもおすすめですよ。

魅力的なアイテム、うちでのこづち

「いっすんぼうし」といったら、おわんの船に、箸のかい、そしてなんといっても、うちでのこづち!

ふれば、どんな願いでも叶うと言われる「うちでのこづち」。いっすんぼうしは、からだが大きくなることを願います。

「私だったら、今、何を願うだろう?」― 私は、『いっすんぼうし』を読むたび、うちでのこづちが欲しくなってしまいますが、同時に、昔話には人々の願いもたくさん込められているのだとも感じます。

にこっとポイント

  • 小さなからだに知恵と勇敢さを持ち合わせたいっすんぼうし、読むと元気になれる絵本です。
  • あらすじは覚えているけれど、詳細は忘れたという人、必見! 改めて読み返すと新たな発見があるかもしれません。

(にこっと絵本 SATO)

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