ぐらぐらぐらぐら抜けそうな歯をべろで触っていたら、誰かに声をかけられました。
「おやおや。はの ことで おこまりですか?」
声をかけてきたのは、しかのしか。「鹿歯科」の先生です。
『しかしか』山田マチ文、岡本よしろう絵、小学館、2020 amazon
ぼくが、へーっという顔をしているうちに、森から海から、患者さんがどんどんやってきて、ぼくも治療を手伝うことになりました。どの患者さんも、しか先生は、鮮やかに治療してしまいます。
しかと見よ! ちりばめられた、だじゃれと学び
しかのしか、でお気づきかもしれませんが、この絵本には、だじゃれがちりばめられています。ややくどめ、けれども子どもたちが大喜びするくらいのだじゃれです。
しか先生もぼくも生きものたちも、笑ってしまうほど表情豊かなので、笑いの方向に突き進むのかと思いきや、使わないと伸び続ける歯や毒の出る歯、角のような歯など盛り込まれた動物の生態にうなってしまうこともあります。
さらには、しか先生の熱いおことばで歯の大切さまでわかってしまうのです。
にんげんは いろんな ものを たべるから
はが ひつようなんです。
おしゃべりするにも おもい ものを もったり ふんばったり するにも
はは じゅうようなのです!
『しかしか』は、6月4~10日の歯の衛生週間に、それから歯みがき嫌いさん、歯がぬけそうなお子さん、それからだじゃれや動物好きさんにもおすすめの、ゆるくて学べる、歯の絵本です。
にこっとポイント
- だじゃれのちりばめられたユーモラスな絵本ですが、動物の生態や歯の大切さなどの学びの要素もあり、子どもたちの幅広い好みに応えてくれます。
- お説教くささは皆無なので、歯の衛生週間にも喜ばれます。
(にこっと絵本 高橋真生)