PICK UP! 雪と氷の絵本
どんないえにすみたい?

『どんないえにすみたい?』ジョージ・メンドーサ作、ドリス・スーザン・スミス絵、木坂涼訳、好学社、2022 amazon

ねずみのヘンリエッタは、世界的に有名な建築家です。家の設計も、内装も、家具のデザインも何もかも手がけていて、お客様が望む以上の仕事をします。

建築家、というよりも芸術家― 誰もが、そんなヘンリエッタに家をつくってもらいたいと思うのでした。

建物は断面図で、家具や調度品まで細かく描かれており、その個性的な住まい一つひとつに、きっと目を奪われてしまうはず。それぞれの家に、どんなこだわりがあるのか。ぜひ手にとってみてくださいね。

まるで建築雑誌のよう!? 夢がつまったような素敵な家たち

ヘンリエッタ自身の仕事場や、りすのツリーハウス、ますの楽園など、今まで手がけた家や登場する物件は、どれもが住む人の特徴と希望を大きく反映した魅力的な家です。

どんないえにすみたい?_中ページ

もぐらの地上の家、いもむしの繭の家、とかげの海の家、ふくろうの塔、ぶたの宮殿、かわうその釣小屋…… これらは、その一端ですが、どれもが生き物たちの暮らしに寄り添った― ある意味とても現実味のある、それでいて夢のある素敵なデザインなのです。

なかでも、私のお気に入りは、ねこの別荘です。「いつでも、どこでも、寝転がれる場所がほしい」というねこの要望に応えた、四方を縁側に囲まれた日本家屋のような建物。片側には川が流れていて釣りを楽しめる一方、反対側には眺望がきいており、悠然と凧を飛ばしながら景色を味わうことができる……。

もう、別荘という用途にぴったりの、そこで過ごす時間が必ず特別なものとなる空間が広がっています。

細部まで緻密な描写で描かれた家々は、ときにハリウッドの高台にある家のようだったり、バリのホテルのようだったり、親しみやすい生活感に溢れた部屋だったりします。外国の方の作画ですが、和室や和小物も多いです。

ヘンリエッタの仲間たちが、家を施工する様子も描かれており、家が設計され建てられていく過程を見ているうちに、なんだかそこに暮らす人の「根っこにあるもの」を反映している哲学のようだな、としんみり思ったりもします。子どもにも負けず、大人たちこそがこの絵本の魅力の虜になってしまうはずですよ。

にこっとポイント

  • 建築家というよりは芸術家、そんなねずみのヘンリエッタが手掛けた家々を楽しむ、建築雑誌のような絵本です。
  • 大人も子どもも、「自分だったらこんな家に住みたいな」「こんな設計が素敵だな」など、この絵本をきっかけに、想像が膨らむはずです。
  • この絵本は1983年にフレーベル館から出版された『だれのおうちかな?』を、好学社が復刊したものです。初版では、「ねずみのエロイーズさん」と訳されているなど、少し違いが見られます。見比べてみるのもおもしろいですね。

(にこっと絵本 Haru)

おすすめの記事