昔々、スサノオという荒々しい神様がいました。
『スサノオ』飯野和好作・絵、パイインターナショナル、2018 amazon
スサノオは、高天原(たかまがはら・天上界)で乱暴を働いたために、姉のアマテラスに追放され、葦原中国(あしはらのなかつくに・地上界)に落とされてしまいました。
そこで出会ったのは、年老いた夫婦と美しい娘。娘は八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の生贄として差し出されるというのです。
娘を助けるため、スサノオは大蛇を退治することにするのですが……。
野生味あふれる戦闘シーンは必見! 読み聞かせにもぴったり
乱暴がすぎて天井の世界から追放されてしまったスサノオですが、地上では人々を困らせていた八岐大蛇を退治という大活躍をします。
天上で認められなかったスサノオが地上に根づき、居場所を得る結果には、神様だって適材適所、自分にとって合う場所に辿り着くことが大切なのだな、とも感じます。
さて、日本の古事記にも記されている古い神話を生き生きと迫力あるタッチで描き出したのが、飯野和好さんです。
実は、『スサノオ』は、「飯野和好 日本の神話」シリーズ全5巻のうちの、第3巻です。巻末の作者紹介によると、飯野さんは、絵本の読み語り公演で、股旅姿で全国を練り歩いているといいます。
そんな彼の描く本作は、読み聞かせにもぴったりの迫力満点な内容になっています。
「ぬうーーーーずるずるずる」「ぐわら ぐわら ぐわらー」など、オノマトペも豪快に、思いっきり声に出して読んでみたくなるはずです。
神話ってなんだか難しそう、というイメージはとっぱらって、一つの冒険譚として楽しめる1冊です。
にこっとポイント
- 荒々しい神スサノオが八岐大蛇を退治し活躍する姿を、迫力満点で読むことができます。
- 「飯野和好 日本の神話」シリーズ全5巻のうちの1冊です。神様たちが生まれたその起源や、天界でのスサノオの様子などを、ファンタジーを読むように、ワクワクしながら知ることができます。
(にこっと絵本 Haru)