『3人のママと3つのおべんとう』クク・チスン作、斎藤真理子訳、ブロンズ新社、2020 amazon
3人のママは、今日も大忙し。
仕事に行く前に、デスクで目を覚まして、3人の子の面倒を同時に見ながら…… 幼稚園の遠足のためのお弁当の準備です。
いつも しごとは ぎっしり。ぜんぶ ちゃんと やりたいけど なかなか うまくいきません。
だいじなことは カレンダーに かいておきますが、しょっちゅう わすれます。
3人は、「ママ」で、同じマンションに住んでいて、子どもは同じ幼稚園に通っていますが、当然ながら、別の人間です。
でも、春がきたのも知らずに、目の前のことに一生懸命向き合いながら、時々、子どもたちのことを考えるのは、同じ。お弁当食べたかな、なんてね。
それでも、
まいにち たくさんのことをやりますが、ときどき なんにもしてないような きもします。
なんて思うときも。
子育てしていたら、どれもこれも「わかるー!」というようなエピソードばかりで、目の奥がじわっと熱くなったり、胸がきゅんとしたり。
でも、決して重たい絵本ではありませんよ。
マンガのようにコマ割りや吹き出しを使ったページが多く、ことばも絵もシンプルでやわらかなので、とても読みやすいのです。
なにより、透明感のある色づかいがすばらしく、読んでいると肩の力が抜け、美しい色の膜に包まれているような気分になります。
新年度が始まりました。
すがすがしく、にぎやかな季節ですが、慣れないことに緊張したり、疲れたりしてはいないでしょうか。
そんなときは、この絵本の出番です。読み終えるころには、やさしさやあたたかさで、心がふわふわになっているはずです。
にこっとポイント
- 仕事に家事に育児に大忙しの、3人のママの物語。共感しながら読み進めるうちに、やさしさやあたたかさで、心がふわふわになっていきます。
- 透明感のある美しい春の色が印象的な絵本ですが、春以外にも、折に触れて読みたくなります。
- パパの物語もあります! 『3人のパパと3つのはなたば』も、あわせてどうぞ。
(にこっと絵本 高橋真生)