PICK UP! クリスマスの絵本

はずかしがりやですぐ赤くなる宅配会社のキム運転手、子どもに泣かれるのが怖い小児科のキム先生、朝寝坊で会社に行くのがギリギリの建設会社のキム課長― 3人のキムさんの長い一日がはじまりました。

3人のパパと3つのはなたば

『3人のパパと3つのはなたば』クク・チスン 作、斎藤真理子 訳、ブロンズ新社、2021  amazon

それぞれバスや自動車で出勤し、お仕事開始!

キム運転手は荷物を15個配達して、花束を買いました。小児科のキム先生も、建設会社のキム課長も、お昼に花束を買いました。

実は、パパたちは、夜に大事な予定があるのです。いったい誰にあげるのでしょうか。

そして夕方。どっさりの荷物や書類に、今日に限ってぎっしりの患者……。

キム課長は、まだ電話中で、キム先生はまだまだ診察中で、キム運転手は121個目を配達中。はたして間に合うのでしょうか。

3人のパパと3つのはなたば_中ページ

特別な夜へと向かって、多忙な1日を駆け抜ける韓国発のパパの物語です。

まず主人公が「3人のパパ」というのが新鮮です。3人共、名前は同じキムさんですが、宅配会社、小児科、建設会社と勤め先は異なっているので、絵本を読みながら、3つの職業について知ることができることも、魅力です。

シンプルな文と、文には書かれていない情報がたくさん描かれている絵も楽しいです。例えば、「もう おひるです。キム先生も キム課長も はなたばをかいました」という場面。

キム先生は、昼食を取っているテーブルの上に買ったばかりのかごに入ったお花を置き、キム課長は買った花束を片手で抱えて、携帯電話で話しながら歩く。そして、先に花束を買っていたキム運転手は、宅配用トラックで運転中。

そんなふうに、同時進行で3人の様子が見られるようになっています。

また、見開き1面で3人を描いたり、1人分を2コマずつにしたり、4コマずつにしたり、場面によって工夫された構成も素敵です。

一生懸命仕事をこなしていくパパと、1日の終わりの特別な夜をぜひあなたものぞいてみませんか?

にこっとポイント

  • 特別な夜へと向かって、多忙な1日を頑張って乗り切る3人のパパの物語です。
  • 読者自身のパパの仕事にも、興味を持つきっかけにもなります。
  • ママが主人公の春の物語『3人のママと3つのおべんとう』も、ぜひ読んでみてください!

(にこっと絵本 SATO)

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