
『ライオンのよいいちにち』あべ弘士作、佼成出版社、2001 amazon
ライオンのお父さんには、5頭の子どもがいます。
ある日、散歩に出かける親子。
それを見たイボイノシシの母親は、自分の夫と比べてうらやましがります。
次に出会ったのは、木の上のヒョウ。子守なんかして大変だと声をかけます。
ゾウの家族に出会ったときは、ばあさんゾウから感心されます。
そのたびに、ライオンは心の中で思います。
こうしているのが好きでやっているのだから、余計なお世話なのだ
お気に入りの大きな岩山でお昼寝をし、お気に入りのモンキーの石太鼓を聴き、一句読む。なんとも、心地の良い時間が流れます。
自分がやりたいからやっている― そういう、シンプルで、誰に媚びることもない在り方と、サバンナの雄大な自然の風景が、読む人にさらなる広がりを感じさせてくれる気がします。
「あっ、かあちゃんだ」。シマウマを追っている母ライオン。
それを見て、「いつもいつも ごくろうさんです」と思うところもステキです。
月 ますます かがやき 石だいこの音、草原をわたる
見えるもの、聴こえるもの、匂い、肌に感じる風や気温。絵本を読んでいると、自然と感覚が揺さぶられます。
きょうも よいいちにちで あった
私も、そんな風に毎日を過ごしたいものです。
にこっとポイント
- ライオンのマイペースな子育てぶりを、大胆なタッチでユーモラスに描く、『ライオンシリーズ』。父の日の読み聞かせにいかがでしょうか?
(にこっと絵本 森實摩利子)