
『そんなこともしらないの?』パク・ジョンソプ作、なかやまよしゆき訳、フレーベル館、2023 amazon
赤、黄、青、灰色、黒など、様々な色の小さな魚たちが、群れを作って泳いでいました。
そこに、「あ~ はらへった!なんとかして あいつらを たべられないかなぁ」と、やってきたのはアンコウです。
「お~い あかいサカナが かぜをひいてるってさ~」と、アンコウは、大きな魚の群れに声を掛けました。

すると、魚たちは大パニック! アンコウが流したウソの情報だとは思わず、「うつったりしたらたいへん」だと、赤い魚を群れから追い出してしまいます。

追い出された赤い魚たちは、おなかの空いたアンコウに食べられてしまいます。
次にアンコウは、「お~い きいろいサカナも かぜを ひいてるってさ~」と、言い出して……。さて、残った魚たちは、どうなるのでしょうか。
お話は、ユーモラスな魚たちの会話が中心となって進みます。それぞれの魚が、口々にことばを発するページを見ると、様々な意見が入り乱れ、ウソか本当か分からない情報は、現実にも似ていると感じることができます。

この絵本では、アンコウがウソの情報を流していますが、「かぜをひくと ねつがどんどん あがるだろ? だから まっかっかなんだ! そんなことも しらないの~?」などと、いかにもありそうだと思えるような伝え方をしてきます。
一見ウソだとは見抜けないほど巧みなウソ情報も出回っているこの現代、見たまま聞いたままを鵜呑みにせず、真実を確かめることの重要性を、学ぶことができる絵本です。
にこっとポイント
- はらぺこアンコウが群れの魚にウソを流し、パニックになる魚たちをユーモラスに描いたお話です。フェイクニュースに動揺する社会を風刺した韓国の絵本です。
- 文字の大きさや色遣いなど、ページによって読者に伝わりやすいように工夫されています。
- 情報化社会を生きる子どもたちが、情報の処理方法について考えるきっかけにもなります。
(にこっと絵本 SATO)