「うそはダメ」「でも本音と建前ってものがあるのよ」なんて、子どもには難しい! 大人だって、何てことばにしたらいいか、迷ってしまうときがありますよね。
『ほんとうのことをいってもいいの?』パトリシア・C・マキサック文、ジゼル・ポター絵、福本由紀子訳、B L出版、2002 amazon
リビーは、ある日ママにうそをつきました。なんともするすると自然と口をついて出たうそにリビーもびっくり。でも、お腹のあたりが苦しくなって、涙も溢れてきました。
「これからは、ほんとうのことだけをいおう」と心に誓ったリビーは、学校へ。
素敵な洋服と帽子でおめかししている友だちには靴下に穴が開いていることを、先生にはウィリーが宿題をしていないってことを教えてあげました。でも、帰るころにはなんだかみんなは怒っているみたい?
学校が終わる頃には、誰もリビーと口を聞いてくれなくなってしまったのでした。
『ほんとうのことをいってもいいの?』は、リビーとともに、人と過ごす上で大切にしたいことに気づくことのできる絵本です。幼稚園のお子さんから、大人まで心に響いてきます。
「本当のこと」の扱い方
「君のために言う」「本当のことなんだから」そんなことばや行動が、ときにわたしたちを傷つけることがあります。
たとえば、リビーが、お庭がジャングルみたい、と言って怒らせてしまったタッセルベリーさん。翌日、彼女はリビーにこんなふうに話します。
ほんとうのことは、すっとうけいれられないこともあるの。でも、そこに やさしいきもちがこもっていれば、ちょっとでものみこみやすくなるわ。
わたしは、そうだよねぇ、と大人ながら強く共感しました。そこに優しさや思いやりがあるかによって、受け取り方も変わってきますよね。
思いやりを持って考えれば、「本当のこと」の扱い方も変わるはず。こそっと教えてあげるとか、ことばを変えるとか、工夫はさまざまです。
「そこに愛はあるのか?」― そう自分の心に問うこと。そうすることで、まわりの人を大切にでき、きっと自分もまた、笑顔になれるのではないでしょうか。
にこっとポイント
- 「うそ」や「本当のことの伝え方」をテーマに、まわりの人の気持ちを考えながら行動することを教えてくれます。
- みんなが一生懸命工夫をしながら生活している今だからこそ、まわりの人への思いやりを大切にしたいな、と思わせてくれる絵本です。
(にこっと絵本 Haru)