地球がどんどんあたたかくなったせいで、溶けてしまったペンギンたちの氷のおうち。そこで、ペンギン家族は、引っ越しすることを決めました。
「もっと すてきなばしょが きっとある」
『ペンギンかぞくのおひっこし』刀根里衣、小学館、2017 amazon
氷のお船に乗って、出発進行! きれいな海があると聞いた南へと向かいます。しかし、そこにあったのは、前が見えないほど真っ暗な海。こんなところには、住めません。
さらに、東のほうの原っぱへ行っても、西のほうのお花畑へ行っても、住めそうにないところばかり。
ペンギン家族の引っ越し先を探す楽しい旅に、なるはずが……。
このちきゅうには ぼくたちのすめるばしょは もう なくなってしまったのかな?
ペンギンたちが、うきうきわくわく想像する、こんなところに住めたらいいなと思うような世界。
でも、実際に行ってみると、どこも環境が悪化していて、住むどころではありません。
希望あふれる美しい世界の後、それを打ち砕くような暗い世界が描かれているので、インパクトがとても大きく、読者の心に響きます。
「ペンギン」の主人公が「引っ越し」をするという親しみやすい設定や、難しい表現は一つも使われていない文章で、小さい子どもにも伝わりやすく、読者の年齢なりに、それぞれが地球環境について考えることができる絵本です。
家族や友だちと一緒に読んで、感じたこと、気づいたことを共有してみるのも、おすすめです。
にこっとポイント
- 温暖化により氷のお家が溶けたため、新しい住み家を求めて旅をするペンギン家族のおはなしです。みんなが住みやすい地球環境について、自分なりに、考えてみたくなります。
- 物語に登場する84羽のペンギンは、京都議定書に最初に署名した84か国を象徴しているそうです(巻末のメッセージより)。
(にこっと絵本 SATO)