『こっちとあっち』の表紙には、頭がもじゃもじゃな「ぼく」とネコの「ともだち」が、向かい合って描かれています。

『こっちとあっち』谷川俊太郎文、樋勝朋巳絵、クレヨンハウス、2023 amazon
ぼくのいる左半分の背景は水色で、ともだちのいる右半分の背景は、淡いピンク色をしています。2色で分けることで、お互いが持っている空間、「こっち」と「あっち」をうまく表現しています。
ぼくは「こっち」が好きだから、昔から「こっち」にいます。
あるとき、「あっち」から、パラシュートをつけた、ともだちが遊びにきました。

でも、遊んでいたらけんかになって、ともだちは「あっち」に帰ってしまいました。

さて、ぼくは、どうするのでしょうか? あなたなら、どうしますか?
ぼくの持っている世界と、ともだちの持っている世界があって、仲良くするためには、お互いの世界をのぞきに行ってお互いを理解したり、思いやったりすることが大切なのだ、と、あたたかさと共に伝わってくる絵本です。
また、とてもシンプルな内容ながら、さまざまなことを感じられるのも、この絵本の魅力です。
たとえば、「もしかしたら、ぼくのところにパラシュートで遊びにくるともだちは、『こっち』以外のところへも、あちこち飛んでいっているのかも……」などと、イメージがふくらみます。
谷川俊太郎さんの文と樋勝朋巳さんの絵のコラボが、素敵な絵本です。
にこっとポイント
- ぼくがいる「こっち」と、友だちのいる「あっち」のお話です。「こっち」と「あっち」の空間を行き来しているうちに、不思議な感覚になります。
- 実際の自分と友だち等、身近な人との関係を考えるきっかけにもなる絵本です。
- 谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本シリーズ」16作目です。
(にこっと絵本 SATO)