こんなおたよりをいただきました。
芸術の秋というほどではありませんが、今年は少しアートに触れてみたい気分です。まずは基本の画家の絵から見てみようと画集を購入しましたが、難しいような気がして、まだほとんど見ていません(やや後悔)。絵本は好きなので、まずは絵本でアートな気分を味わってみたいです。
芸術の秋、いいですね! よく晴れて、日差しがあたたかく、風は少しひんやりして気持ちいい、外に出てみたくなるような日にぴったりの、「アートな気分」を味わえる絵本をご紹介します。
それは、こちら― 『ぺペットのえかきさん』です。
『ぺペットのえかきさん』リンダ・ラヴィン・ロディング文、クレア・フィッチャー絵、なかがわちひろ訳、絵本塾出版、2017 amazon
ぺペットは、うさぎのぬいぐるみ。パリのラファイエット通り9番地に住む女の子、ジョゼットといつも一緒です。
ジョゼットの家には、家族みんなの絵がかけてあるのですが、ある日、ジョゼットは、そこにぺペットの絵がないことに気づきます。
「すぐに かいてもらわなくちゃ。
パリで いちばん じょうずな えかきさんを さがしにいこうね」
モンマルトルの広場には、絵描きさんがいっぱいいます。そしてすぐに、しま模様のシャツを着た絵描きさんが、ぺペットの絵を描きたいと申し出てきました。
しまシャツさんはぐいぐいと絵を描きますが、できあがったぺペットの絵には、鼻が二つに、耳が三つ……!
そう、しまシャツさんは、実はピカソだったのです。ジョゼットは困ってしまって……。
と、こんなふうに、ジョゼットとぺペットは、モンマルトルでいろいろな画家に絵を描いてもらうことになります。
最終的にジョゼットの家の壁に飾られたのが、いったい誰の絵だったのかは、絵本をご覧くださいね。
私は、ジョゼットたちと一緒に「絵描きさん」たちと出会うことで、世界的に有名な画家たちともう一度出会ったような気がしました。ぜひ、絵本を読んだ後で、画集の絵を見てみてください。絵本で感じたキャラクターが重なって、フフッと笑いがこみ上げてくるのではないでしょうか?
また、水をたっぷり含んだ色も、パリの街並みも、美しく、気持ちよく、なんだかうーんと伸びをしたくなるような空気があります。
まるめがねさん(マティスです)は言いました。
えは ちがうせかいへの とびらなのさ。
絵本もしかり。ぜひ、パリの空気をお楽しみください。
にこっとポイント
- 世界的に知られる画家たちが登場する、絵の楽しさが伝わってくる絵本です。
- 水をたっぷり含んだ美しい色と瑞々しい雰囲気のモンマルトルが、とてもおしゃれです。
(にこっと絵本 高橋真生)