2025年の節分は、2月2日でしたね。みなさん、何か節分らしいことをしましたか? 私は、「恵方巻」ではなく「恵方ロール」(のり巻きではなくロールケーキ)をいただきました。
暦の上では、春がやってきたということです。まだまだ、寒いですが……。
さて、今日ご紹介する作品は、数々の鬼の絵本の中でも、少し変わった鬼のお話です。

『おによりつよいおよめさん』井上よう子作、吉田尚令絵、岩﨑書店、2013 amazon
一人山奥に住む鬼は、村に降りて来ては悪さばかり。気が向くと、あちこちの村に降りてきちゃ、暴れておりました。
そんな鬼ですが、ある晩に、遠くふもとの村のあかりを眺めているうちに一人が寂しくなりました。
そして、「そうだ、よめを、もらうべ!」「よめをもらって、めしたきさせよう。いうこときかなきゃぶんなぐってやる」と思いついたのでした。
夜が明け、村に降りた鬼は、「村一番のおなごをよこせ!」と村人に言います。
村の人は頭を抱えました。誰も、鬼の嫁になんかなりたくありませんからね。
すると、「おらがよめになる」と申し出た者が……。名乗りを上げたのは、腕っぷしが村で一番強い「とら」という、でっかい娘でした。
さて、このとらですが、飯炊きも洗濯も大の苦手。何にもしようとしないのです。
鬼は怒ってぶん殴ろうとしましたが、「なにするだ!」と、とらが鬼のこぶしをつかみ、反対にぶっ飛ばしてしまいます。
こんな二人なのですが、数年後には、たくさんの子どもが産まれ、仲睦まじく幸せに暮らします。どうしてそうなったのかは、読んでみてからのお楽しみです。
にこっとポイント
- 腕っぷしの強い女性が主人公のこの作品。高齢者の集まりで、とても楽しんでいただいたことがあります。
- ハラハラドキドキするので、お話として小さい子も楽しめますが、真にこのお話を理解するのには、少々年齢を重ねないといけないかもしれません。
(にこっと絵本 森實摩利子)