ガラゴは旅するかばん屋さん。左右違う色の靴を履いて、てくてくてくてく、かばんを売って歩きます。
『かばんうりのガラゴ』島田ゆか作、文溪堂、1997 amazon
ガラゴが売るのは不思議なかばん。お客さんの望みにぴったりのものを出してくれるのです。ちょっと変わった、でも、特別なかばんです。
ガラゴは、どんなお客さんにも精一杯対応します。そして、お客さんと一緒に自分も楽しんじゃう! そう、旅につきものの「出会い」を楽しむ。ガラゴのそういう柔軟なところが、とても魅力的なんです。
お客さんはかばんのお礼に、何か「いいもの」を置いていきます。クレヨンだったり、すいかだったり、ドーナツだったり……。その品々が、次のお客さんとのやりとりでつながっていくのも、このお話の面白いところです。
さて、そんなガラゴと旅を共にするのも、もちろん不思議なかばんです。見て見て! 足がついてて靴まで履いてるよ! お客さんの希望に応えられるかばんがいっぱい詰まっていて、その上ベッドにもなる優れもの。
お話を楽しみながらお子さんと一緒に、いろんな夢のあるかばんを想像するのも楽しいですね。
それから、作者、島田ゆかさんの細やかな絵のこだわりがおもしろい! 描かれている全てのものが、別のお話につながっているんです。まるで、皆が主人公みたいに。
1回目はストーリーを楽しんで、2回目は小さな生きものたちのサイドストーリーを楽しむ。読むたびに新しい発見がある一冊です。
にこっとポイント
- ガラゴの物語と、小さな生きものたちのサイドストーリー、両方が楽しめる絵本です。
- 島田ゆかさんの「バムとケロ」シリーズもぜひ読んでみてください。「あ、見たことある!」という登場人物に出会えますよ。
(にこっと絵本 森實摩利子)