スギ花粉の大量飛散が始まりました。これから全国各地で、ピークを迎えていくのですよね。
そんなニュースに遠い目をしてしまう方に読んでいただきたいのが、こちら『おじいちゃんのくしゃみ』です。

『おじいちゃんのくしゃみ』阿部結、福音館書店、2023 amazon
ロッキングチェアに座っていたおじいちゃん。
あっ
<その時>はいつだって突然やってきます。
くる!
おじいちゃんのそばで、お絵かきをしていた女の子は、ハッとした(セリフをつけるなら「うっ……!」でしょうか)顔をして、ドアの方へ緊急避難。
おじいちゃんは、
あーーーーーーーーーーーーっちょーーーーーーーーーーーーん!
と大きなくしゃみ。
お部屋の中はめっちゃめちゃ、女の子の「芸術作品」もだいなしになってしまいました。
カンカンになった女の子に、おじいちゃんは、自分のくしゃみは世界一すごいのだと説明します。
手の届かないりんごも、緊急事態も、おじいちゃんのくしゃみにかかれば、ひとたまりもないんだよ、と。
そして、もっとすごいこともできるのだと話してくれるのですが、それが何かは、ぜひ絵本を手にとってみてくださいね。
花粉症になってしまうと、花粉シーズンは、くしゃみや鼻水が止まらないだけではなくて、頭が痛かったりぼんやりしたり、眠れなかったりで、気持ちよく過ごすのは難しいですよね。
でも、この絵本は、おおらかでお茶目で、読んでいると心がほぐれてきます。「あっ」「くる!」という件には、思わず笑ってしまいました(年中何らかの花粉に苦しまされている私には、もう共感しかない……!)。
絵にはユーモアがあって、登場人物はみなとても表情豊かですし、背景まで楽しめます。

また、私は、おじいちゃんその人にも惹かれました。遊び心があって、どこかおしゃれ。後ろ見返し(裏表紙を開いたところ)にあるおじいちゃんと女の子の写真を見ると、二人の歴史にほのぼのとした気持ちになるのです。
明るさと穏やかさをくれる一冊です。
にこっとポイント
- 世界一のくしゃみを描いた、ユーモアたっぷりの絵本です。おじいちゃんと孫娘のやりとりに、ほのぼのと明るい気持ちになります。
- お話は、裏表紙まで続いています。どうぞお見逃しなく!
(にこっと絵本 高橋真生)