暑すぎる晴れや大雨、どんより曇り空…… 落ち着かない陽気に引きずられて、くたびれている方はいませんか?
そんなときにおすすめなのが、穏やかなパステルカラーの空が印象的な絵本『のせのせ せーの!』です。

『のせのせ せーの!』斉藤倫・うきまる文、くのまり絵、ブロンズ新社、2022 amazon
『のせのせ せーの!』は、「のせのせ せーの!」で、ページをめくると、描かれたものが変身するという構成の絵本。
たとえば、左に鳥、右に木が描かれたページで「のせのせ」すると……。

木の葉と実が羽に変身!(裸ん坊になってしまった木が、ちょっと寂しいですね)

つまり、ページをめくると、右にあったものが左に移動し、何かに「のせのせ」されているのです。
たとえば、女の子の長い髪にちょうちょがのって、リボンのように。カニの上にはソフトクリームがのって、ヤドカリに!?
きっと誰もが「わあ、かわいい」と思うような展開ですよね。
「のせのせ」は、どんどん難しくなっていくので、次はどうなるのかなと、考えたり一緒に読んでいる人と当てっこしたりするのも楽しい。
でも、この絵本は「かわいい」だけでは終わりません。
途中から、スケールがどんどん大きくなっていくのです。そう、上品で軽やかなことばと絵には不似合いなほどに、激しく!
そのギャップには、びっくりされられますが、笑わずにはいられません。
しかもその「のせのせ」は、すべてがつながりを持ち、一冊を通して見ると、物語となっています。
ですから、細かな部分もぜひじっくりとご覧くださいね。つながりがよくわからないという方は、まずは、三つ編みの女の子を追ってみてはいかがでしょうか。
さらに、空の色の変化がとても美しく、そこに注目して読み進めていくと、心が静かに、穏やかになります。夜、寝る前に読むのもおすすめです。
にこっとポイント
- ページをめくると描かれていたものが変身する絵本です。ぐんぐんとエスカレートする展開、上品で穏やかなことばと絵、当てっこ、探し絵など、見どころは盛りだくさんです。
- 透明なカバーがかけられていて、なんと現実でも「のせのせ」できます(すごい!)。紙の本は手に取らないという方にも、一度実物を見ていただきたいです。
(にこっと絵本 高橋真生)