お正月休みも終わり、園も学校も給食が始まって、家族が通常運転に戻るころ。「ひとりで残ったお餅を食べるのが、ちょっとむなしい……」と、あるお母さんが言いました。
わが家は、食事におやつにと、年中お餅をいただくお餅一家なので、「それならば」とアレンジレシピと共に紹介したのが、こちらの絵本です。
『おもちさんがね‥』。
『おもちさんがね‥』とよたかずひこさく・え、童心社、2019 amazon
表紙に描かれた、ぷっくりと飛び出したまあるい顔を見るだけで、ほのぼのしませんか?
お話は、のされて切られたおもちさんたちが、よいしょよいしょと火鉢に上がっていくところから始まります。
「もち~ん」「ぽか ぽか」「ふぁ~」気持ちよさそうに、寝そべるおもちさんたち。
この後、「あれ、ピンチ!?」と思うようなシーンもありますが、終始ほんわか。ゆったりとやわらかい響きに、読むと、自然と呼吸が深まっていくようです。
絵も、かわいらしく、あたたかみがあって、なんだかホッとするんですよね。
年末年始はとにかくあわただしくて、平日の方がゆっくりできるという人もいるのでは?
でも、そんなあわただしいお休みの間にこそ、幸せな瞬間があったのではないでしょうか。
高く澄んだ空や、子どもの笑顔、忙しいなりにたっぷり眠ったこと…… 穏やかな気持ちでお餅を味わいつつ、そんなことを思い出していただけたらと思います。
もちろん、小さな子どもたちも、この絵本が大好き。読んだ後で、お餅が焼けるのを眺めるのは格別なひと時になるはずです。
おもちさんと一緒に、お正月の余韻をぜひご堪能ください。そして今年も、よい年になりますように。
にこっとポイント
- かわいいおもちさんが、こんがり焼けて、磯辺巻きに変身! 大人も子どもも、お餅が大好きになる絵本です。
- 作者・とよたかずひこさんは、「ももんちゃん」シリーズでおなじみです。そちらもとてもおすすめです。
(にこっと絵本 高橋真生)