『どんどこももんちゃん』、とよたかずひこ作、童心社、2001 amazon
どんどこ どんどこ どんどこ どんどこ ももんちゃんがいそいでいます。
ふっくらとした、桃のようなお顔。その姿は、おむつ1枚。
ももんちゃんは、どこかをめざして、まっしぐらに進みます。
どんっ。行く手をくまさんが通せんぼしても、なんのその。
どちっ。転んでしまっても、涙をこらえて。
そして、どーんと、飛びついた先には― 子どもたちの小さな冒険と、最後に行きつく愛情たっぷりな展開に心あたたかくなります。
一度はハマってほしい! ももんちゃんの魅力
ああ、懐かしき、ももんちゃんピンク。ベビーの時期を通りすぎた親御さんたちの中には、ももんちゃんシリーズのピンクの表紙を見るだけで、懐かしさがこみ上げる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
絵本を読む人にとって、「ももんちゃんは必ず通る道!」と言っても過言ではないくらい、ももんちゃんは多くの人に愛されているのです。
さて、そんなももんちゃんの魅力とは?
まず、ひとつ目。それは、ささやかな成長と発見を幸せに感じる、愛にあふれた絵本だということ。
ももんちゃんの姿を見ていると、歩き始めた子どもの挑戦や冒険を見守るような、ほっこりとした気持ちになります。
絵本の中でいろいろな経験をするももんちゃんは、とても一生懸命で、1人で歩む力強さも感じます。
でも、心中には、いろいろな葛藤や堪えているものもあるのですよね。その支えになっている存在、その先に待っている「大好きなあの人」の存在が、読んでいる私たちの心をぎゅっとつかみます。最後には、きっと子どもたちをぎゅっと抱きしめたくなるはずです。
そして二つ目。それは、口と耳がうれしい、くり返しのことばの魔法。
「どんどこ どんどこ」「どん」「どちっ」など、ももんちゃんの絵本には、くり返しのことばや、擬音語・擬態語があふれています。まだ話し始める前の子どもたちも楽しめることばが多用されているのが、ももんちゃんシリーズの大きな特徴です。
絵本の読み手も、何度も絵本のことばを紡ぐうちに、なんだか楽しくなってくるはずです。
にこっとポイント
- ことばの魔法とあふれる愛情に、いつ読み返してもあたたかく、楽しくなる絵本です。
- この夏、鎌倉文学館で、ももんちゃんの作者・とよたかずひこさんの企画展が催されています(2021年9月20日まで)。鎌倉文学館は、鎌倉駅と長谷駅のちょうど中間ほどの場所にある、木漏れ日の中にたたずむ瀟洒な洋館です。江ノ電でも行くことができるので、夏のお出かけに出てみるのもよいですね。詳細はHPをご確認ください。
→ 鎌倉文学館 特別展「とよたかずひこの世界」
(にこっと絵本 Haru)