『そんなときどうする?』セシル・ジョスリン文、モーリス・センダック絵、こみやゆう訳、岩波書店、2013 amazon
「若き紳士淑女のための 礼儀作法の本 毎日の生活の中で きっと役に立ちますよ」
「こんなときは、どうしたらいいのかな?」という場面ごとに礼儀作法を説いてくれるマナー本かと思いきや―?
『そんなときどうする?』を読めば、奇想天外な展開と、くり返される大真面目な対処法に、読みすすむうちにクスリと笑ってしまうはず。
大冒険の中でも優雅に? そのギャップにクスリ!
「静かに廊下を歩きましょう」と言われるのと、「忍者になって、音を立てずに廊下を歩いてみましょう」と言われるのと、どちらが子どもたちはうまくできるでしょうか。遊び心をもって伝えた方が、楽しみながらすんなりやってみせてくれますよね。
この絵本も、そんなユーモアを交えて「若き紳士淑女」たちに、礼儀ある優雅な作法を指南してくれます。
「図書館で本を読んでいたら、悪者につかまった! そんなとき どうする?」
「海賊と一緒に宝物を掘っていた。お昼の準備ができたみたい。そんなとき どうする?」
「そんなこと、ありえない!」と笑ってしまうけれど、もしかしたら子どもたちにとっての日常は、この奇想天外な冒険のようにウキウキワクワクに満ちたものなのかもしれません。
モーリス・センダックの絵も魅力の一つ。ユーモアのある、味わい深い絵は必見です。海賊やお姫様に王子様と、子どもたちの大好きな登場人物たちが絵本の世界に誘います。
「どんな大冒険の中でも優雅に優しい礼儀作法を」と説くシニカルなユーモアを、ぜひ大人もお子さんと一緒に楽しんでみてください。
にこっとポイント
- 「そんなときどうする?」という問いかけのくり返しが、親子の対話を促します。クイズ形式のように、ひと場面ごとに子どもたちは真剣に考えてみたりする様子も見られます。
- 『そんなときなんていう?』の姉妹編で、米国版オリジナルサイズで再刊された絵本です。
- 親子で楽しむのもよし、学校の学級開きの頃に大人数で読み聞かせしてみるのもおすすめです。
(にこっと絵本 Haru)