『カブトくん』タダサトシ、こぐま社、1999 amazon
昆虫好きの「こんちゃん」は、森で見つけたとても大きなカブトムシの幼虫を、庭で育てていました。
夏まっさかりのある晩、カブトムシは、とうとう地面から顔を出しました。「やったー すごいぞ!」と、こんちゃんは大喜び。このカブトムシを「カブトくん」と名付け、さっそく自分の部屋に招き入れ、スイカを一緒に食べました。
表紙に描かれている目がくりっとしたカブトムシが、もちろんカブトくんです。
よく見ると、タイトルの『カブトくん』の文字は丸太、「ブ」の濁点はテントウムシで、表紙を見るだけでもわくわくします。
ちなみに、表紙に描かれたカブトムシを見たことで、最初から成虫のカブトムシが出てくるものだと思っていた筆者は、幼虫からの登場に驚きました! でも、物語を楽しみながら、土の中でカブトムシがどのように育っていくのかを知ることができるのも魅力ですね。
さて、朝になると、こんちゃんはカブトくんを誘い、公園でシーソーをしたり、なわとびをしたり。楽しく遊んで、1日を過ごしたカブトくんでしたが……。カブトムシが大好きなこんちゃんと、カブトくんとの交流を描いた物語です。
こんちゃんよりも大きいのでは? と思われるほどの大きさの、インパクトのあるカブトくん。巨大なのに、その表情はとても親しみやすく、こんちゃんと同じように、読者もすぐに友だちになれます。
読み進めていくうちに、カブトくんの気持ちもこんちゃんの気持ちも、よく伝わってくる物語です。昆虫好きの子はもちろん、実際にカブトムシを見たり、飼ったりする前に読むにも、おすすめの絵本です。
にこっとポイント
- 巨大なカブトムシの「カブトくん」と、幼虫の頃にカブトくんを見つけて育てた「こんちゃん」との友情物語です。公園で、こんちゃんたちと楽しく遊んだり、お風呂にも入ったりと、カブトくんのコミカルな場面にも注目です!
- 他にも読みたいと思った方には、同じ作者の『カマキリくん』という絵本もおすすめです。
(にこっと絵本 SATO)