私の住んでいる高知では、まさに今、桜が満開です。東北や北海道では、4月が見頃なのでしょうか?
桜前線が北上中している今、こんな作品に出会いました。
『さくららら』升井純子文、小寺卓矢写真、アリス館、2021 amazon
日本一遅く咲く桜の記事― それが、この作品の素となりました。
記事の中の「ようやく桜が開花した」のことばに、作者は考えこみます。
「ようやく」なのは、咲いたのが5月の下旬だったから? 思惑通りにいかなかったから?
でも、桜は咲きたいときに咲くのが、咲き時なのでしょう。
わたしがさく日は、わたしがきめる
帯にあることばです。私がこの絵本を手に取ったきっかけになったことばでもあります。
仕事で訪問している所の女性たちに、この作品を読みたいと思いました。彼女たちはリカバリーを目指し、日々を過ごしています。
「おそくたって これがわたし ちいさくたって これがわたし」
ゆっくりでいい。
確実に一歩一歩進んで、そうして、自分のタイミングで花を咲かせてほしいと願っています。
ページをめくると、写真家小寺卓夫さんの美しい自然がひろがります。
透き通るような空。空に伸び上がっていくような樹々。
静かだけど、ものすごいエネルギーを感じさせてくれる作品に出会えました。
にこっとポイント
- 静かだけど、ものすごいエネルギーを感じさせてくれる作品です。
- 自然を感じて元気をもらえる小寺さんの作品は『いろいろはっぱ』『いっしょだよ』『だって春だもん』『森のいのち』があります。こちらもぜひ出会っていただきたいです。
(にこっと絵本 森實摩利子)