おばさんのバケツの中から、ぴしゃんと飛び出した水の「しずく」は、長い冒険に出かけます。
『しずくのぼうけん』マリア・テルリコフスカ作、ボフダン・ブテンコ絵、うちだりさこ訳、福音館書店、1969 amazon
旅のはじめは、裏庭です。裏庭はほこりがいっぱいで、しずくは、ねずみ色になってしまいました。
クリーニング屋さんやお医者さんにきれいにしてもらおうと思ったのに、お医者さんに鍋で煮るなんて言われて、しずくはびっくりして逃げ出すことに。外では、おひさまがギラギラ照りつけていて、しずくはどんどんやせていきます。
しずくはどうなってしまうのでしょうか?
冒険を楽しみながら、変化する水の姿を知ろう!
何度もピンチに陥りながら、旅を続けるしずくに、ハラハラドキドキする『しずくのぼうけん』。蒸発したり、雲や雨になったり、凍ってつららになったり、水の三態が物語の中でうまく表現されています。
そして、リズミカルに訳された文も、また魅力的です。
たとえば、「たびの はじめは うらにわで どっちへ はしっても ほこりが いっぱい たちまち しずくは ねずみいろ」など、声に出して読んでも心地よい響きになるよう工夫されています。
50年以上読み続けられているロングセラー絵本です。読んだ後、しずくの冒険の続きを考えてみても、楽しいですよ。
にこっとポイント
- しずくの冒険で水の状態変化がわかる科学絵本。50年以上読み続けられているロングセラーです。
- 小さいうちや最初のころは、水の状態変化を意識せずに読んでも、少し年齢が上がると「あっ、そういえば」と、絵本をきっかけに体験と知識がつながることもあります。
(にこっと絵本 SATO)