「優しくて明るいママになりたいのに、怒ってばかり」「子育てがつらい」……尽きることのない、子育ての悩みに、「こんなはずじゃなかったのに!」と思ったら―
『ママだいすき』を手にとってみてください。
まど・みちお文、ましませつこ絵、こぐま社、2002 amazon
10匹のこぶたたちは、お母さんのお乳にくっついて「チュウ チュウ チュウ チュウ」。赤ちゃんへびは、お母さんと顔を見合わせてお散歩、「おにょ むにょ おにょ むにょ」。
童謡「ぞうさん」など数多くの詩で知られるまど・みちおさんの文章は、音もリズムもいきいきとして心地よく、ましませつこさんの絵も、優しいのにちょっぴりとぼけたところのある表情と美しい色が魅力的です。
「子どもはみんなお母さんが大好き」ということが素直に描かれていて、なんだかてれくさいくらい。でも、やっぱりうれしくて、子どもも大人もふっと笑顔になります。
初めての育児に苦戦中のお母さんと『ママだいすき』
けれど、あるお母さんは、この絵本を読むのが苦しかったと話してくれました。「自分はいいママではないと思っているのに、子どもはママというだけで誰よりも私のことが好きなのが、重かったんです」
ところがある日、「だっこ だいすき」と読むと、お子さんがぺたっとくっついてきました。
ふとそのまま抱きしめると、お子さんはぽかぽかとあたたかく、お母さんの中に「ああ、かわいいな」という気持ちがむくむくと湧いてきて、「私は、このままでいいのかもしれないな」と思えたのだそうです。
『ママだいすき』は、いつでも、心をほわーっとあたためてくれます。親子でぎゅっとしているときの目は、ご自分たちからは見えませんが、たとえば読み聞かせの会場でそばにいる私は、知っています。
この絵本の生きものたちと同じように、とっても優しいんですよ。
にこっとポイント
- 『ママだいすき』には、たくさんの赤ちゃんとお母さんの幸せな瞬間がつまっていて、ほのぼのとあたたかな気持ちになれます。
- 子育てに悩んでいるとき、穏やかな気持ちを思い出させてくれる絵本です。
(にこっと絵本 高橋真生)