広い海で、一頭の大きなクジラが死にました。その体はゆっくりと沈み、太陽の光も届かない深海へ。

『クジラがしんだら』江口絵理文、かわさきしゅんいち絵、童心社、2024 amazon
真っ黒な海の底に横たわる、大きなクジラ。
そこへ、深海で暮らすさまざまな生きものたちが集まってきます。
この絵本でまず目を奪われるのが、その深海の描写です。
黒を基調とした画面の中に、巨大なクジラと、普段なかなか目にすることのない深海の生きものたちが浮かび上がります。

その姿は美しくもあり、少し怖くもあり、なかなかの迫力です。
そして、物語はクジラの「死」で終わりません。
クジラの体を食べるものがいる。残されたものを利用する生きものがいる。
さらに小さな生きものたちへと受け継がれ、長い時間をかけて、一頭のクジラがたくさんの命を支えていきます。
光の届かない深い海の底にも、こんなにも豊かな営みがある。
『クジラがしんだら』は、迫力ある深海の世界を舞台に、「命の巡り」を見せてくれる絵本です。
「死」を描いているのに、読み終わったときに強く感じるのは、むしろ「生」。
深海という真っ暗な世界だからこそ、そこでつながっていく命が、より鮮やかに感じられる作品です。
にこっとポイント
- 迫力ある深海の世界を舞台に、「命の巡り」を見せてくれる絵本です。クジラの体に群がって命をつなぐ「鯨骨生物群集」を題材にしています。
- 深海好きにもおすすめ! 巻末には、物語に登場した深海の生きものたちの紹介も。絵本を楽しみながら、深海の不思議や生きものの知識にも出会えます。

(にこっと絵本 森實摩利子)









