5月5日の朝、こいのぼりがあげられるように、空をきれいにしてくれる人がいるのをご存じでしょうか?
それは、「こいのぼりこびと」です。
『こいのぼりこびとのおはなし』まついのりこさく、童心社、1986 amazon
こびとがスーイスイッと空を飛べば、その後から青空が広がるんです。
でも、突然やってきた黒い雲が、黒いたいまつを振り回して、こびとは野原にまっさかさま!
きつねの子どもたちに助けられ、こびとは見事黒い雲をやっつけます。
美しい青空を泳ぐこいのぼりが気持ちいい、子どもの日にぴったりの絵本です。
端午の節句と菖蒲の関係は?
こびとを元気にしてくれて、黒い雲をやっつけるときにも役に立った植物は、菖蒲です。
5がつ5かには しょうぶは とくべつな ちからを もつのです
この絵本を読むと、ごく小さな子にも、5月5日に菖蒲湯に入る理由が伝わります。
たとえば、こびとは、
これは しょうぶかな
ちがうよ しょうぶは しめったところに はえるんだ
などを言いながら菖蒲を探すのですが、あるお子さんは、お風呂に浮かんだ菖蒲を見て「これは菖蒲だよ。葉っぱが長細くて、においがするよ。しめったところに生えてたはずだよ」と、うれしそうにつぶやいていたそうですよ。
菖蒲の出てくる絵本としては『くわずにょうぼう』が知られていますが、そちらがまだ難しかったりこわかったりするお子さんには、こちらがおすすめです。もう少し細かく起源や由来を説明したいというときには『かこさとし こどもの行事 しぜんと生活 5月のまき』をご覧くださいね。
また、この『こいのぼりこびとのおはなし』は、ごくごく小さいサイズで、透明感のある色遣いですから、おはなし会ではなく、おひざにだっこして、また肩を寄せ合って読むのに適しています。
空を泳ぐこいのぼりもグッと数は減ってきましたね。でも、端午の節句の晴れた日には、やっぱりこびとが空を飛んでいるような気がする、そんな絵本です。
にこっとポイント
- すがすがしい青空が印象的な、こいのぼりと菖蒲の出てくる、子どもの日にぴったりの絵本です。
- 童心社「行事こびとのえほん」シリーズの中の1冊です(品切・重版未定なので、図書館でどうぞ!)。まついのりこさんは、赤ちゃん絵本の定番『じゃあじゃあびりびり』の作者でもあります。雰囲気の違いも楽しんでみてください。
(にこっと絵本 高橋真生)