今夜はクリスマス。たくさんのごちそうに「おいしくって ほっぺたが おちそうだね、おかあさん!」とぼくが言ったら、「ほんとうねー おちそうねー」と答えたのは、なんとケーキ!
『クリコ』シゲタサヤカ作、小学館、2021 amazon
そのケーキが言うには、自分がいれば毎日サンタさんが来てくれる、とのこと。それならば、ということで、家族の一員としてずっと一緒にいることになりました。
「あたいの なまえは クリコ。よろしくね!」
そんなふうに始まった「毎日がサンタさん」生活。でも、サンタさんから届くのは、いつもおかしな人形で……。
さて、ぼくの家族はどうなるのでしょうか? クリコって、いったい何者なのでしょうか?
『オニじゃないよ おにぎりだよ』(えほんの杜)など、ユーモアたっぷりで、おはなし会でも人気のシゲタサヤカさんの絵本ですが、驚きと笑いが最後まで続く『クリコ』も、クリスマスのおはなし会にぴったりです。
なんといっても魅力的なのは、クリコの強烈で奔放なキャラクター。いつも食欲旺盛で何かしらムシャムシャ食べているのですが、けだるい感じも漂わせています。
私なら、「クリコさん」とか「姉さん」とか呼びたい雰囲気で、「なーにいってんの」「あー はいはい」「ほんと おくさん、おりょうり じょうず!」なんて、普段の自分にない感じをノリノリに読むのは、とても楽しいです。
そんなふうに、にぎやかに大笑いした後、クリコが、家族みんなと雪降る夜空を見上げるラストシーンには、ほんわかあたたかな気持ちになりました。
…… うちにもちょっときてほしいな。
にこっとポイント
- 先が読めない・勢いのある・笑える、クリスマスの絵本です。おはなし会にもおすすめです。
- どんどん増えるお人形は、もしや……? 靴下の柄もまじまじ見てしまいます。
- 大人数への読み聞かせのときには、カバーを外す方も多いと思いますが、本体にはない絵があるので、ぜひそちらも見せてあげてくださいね。お話とのつながりが感じられます。
(にこっと絵本 高橋真生)