希望はいつも、すぐそこに。

journey

『ジャーニー 女の子とまほうのマーカー』アーロン・ベッカー、講談社、2013  amazon

『ジャーニー』の主人公は、しょんぼりうつむいてばかりの女の子。一緒に遊ぶ友だちはいないし、家族は忙しくて自分のことなど見向きもしない。でも、あるとき、部屋の隅に転がっていた、赤いマーカーに気付きます。

そのマーカーは、描いたものが本物になる、魔法のマーカーでした。女の子は、自分で描いた扉を開き、新しい世界へと足を踏み出します。

扉の向こうにあったのは、ランタンの灯りの美しい深い森、巨大なお城、雲の上に浮かぶ大きな飛行戦艦。何もかも大きくて、圧倒的されるような謎の王国です。

女の子はピンチを切り抜けるため、ボートや気球を描きます。緻密な線と美しい色合いの重厚な王国で、女の子の描く赤くて太い単純な線はとても軽快。その高揚する気持ちが伝わってくるようで、物語の世界へぐいぐい引き込まれていきます。

誰でも使える「開く」という魔法

実は『ジャーニー』は、文字なし絵本です。よくある展開とも言えるこの物語が、多くの読者を魅了するのは、絵の力はもちろんですが、文章がないからかもしれません。年齢や気分によって、読み手それぞれの物語が紡がれていきます。自分と誰かの物語がそっと重なる喜びを感じることもあるのでは?

扉を開けるとそこには希望があり、絵本を開くと大冒険が待っている。そんなとき、きっと心は開いていると思うのです。

さて、大冒険の末、女の子が見つけたものは何だったのでしょうか?

もしあなたが赤いマーカーを持っていなくても、「開く」という魔法は、きっと誰でも使えるはず。小学生から、少し本から離れてしまった中学生・高校生や大人も楽しめる絵本です。きっと、探していたものが見つかりますよ。

『ジャーニー』の後は、『クエスト』 『リターン』を開いて、冒険の続きをお楽しみください。

にこっとポイント

  • 美しく壮大な空間で、自分だけの魔法の物語を楽しむことができます。
  • 少し落ち込んでいるとき、『ジャーニー』で大冒険をすることで、新しい何かが見つかるかもしれません。

 

(にこっと絵本 高橋真生)

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