名作『はらぺこあおむし』の世界を味わおう!
『はらぺこあおむし』エリック・カール作、もりひさし訳、偕成社、1976 amazon
世界中で大人気の『はらぺこあおむし』。ちっぽけなあおむしが、いろいろなものをもりもりと食べて、やがて美しい蝶になる、というお話です。今回はどうしてこの絵本が多くの人を惹きつけるのか、その魅力を改めて解明していきたいと思います。
『はらぺこあおむし』のいいところ― あおむしの成長の物語 ―
1.見守ってくれる人、見守る人がいる幸せ
たまごを見つけるおつきさまに、ぽんっとたまごから生まれてくるあおむしを見守るおひさま。絵本には、あおむしを穏やかに見守ってくれる存在が描かれています。
私は、そこにもう一人、あおむしを想ってくれている人がいると思うのです。それは、あおむしのママ。作中に出てくることはありませんが、でも、確かにいると感じています。
そのヒントになったのは、はっぱです。おなかが痛くなったあおむしが、最後に食べた― あおむしの危機を救った ― はっぱ、始めにあおむしのたまごがあったはっぱに似ていませんか?
あおむしママは、あおむしにとって、ケーキやアイスよりもおいしく、本当にに必要なはっぱにたまごを産んでくれたのではないでしょうか。そして、具合が悪くなったあおむしも、無意識に、ママに産みつけてもらった始めの場所に戻ってみたのでは― 。
『はらぺこあおむし』は、子どもの成長物語。愛情は、見えなくても、きっと子どもの糧になります。それは見守る人にとっても、とても幸せなことなのではないでしょうか。
2.世界に一つ、オリジナルの美しさ
エリック・カールの作品には、コラージュの技法が多く使われています。ティシュー・ペイパー(薄紙)に色を塗り、さらに色を重ねたり混ぜたり、滴らせたり引っかいたりして、模様をつけます。そして、様々な模様や質感の色紙を作り、色別に保存をしておくのです。(※)
そんなふうにしてできる、唯一無二の色や模様を次々と食べて大きくなっていくあおむしは、まるで多くの経験を経て成長していく子どものようです。そして、このひとつひとつの個性を開花させるとき、子どもたちは美しい蝶になるのでしょう。
3.数・曜日・生活の流れに親しむ楽しさ
夜、月が出ていたところに、朝が来てお日さまが上る、そんな生活の流れを自然と知ることができるのも、『はらぺこあおむし』のいいところの一つです。曜日ごとに食べる果物がひとつずつ増えていく場面では、曜日や数にも絵本を読みながら親しむことができます。
ちなみに、曜日に親しむといえば、同じくエリック・カールの『月ようびはなにたべる』もあげられます。月曜から日曜までの毎日の食べものを歌ったアメリカのわらべうたを絵本にしたものです。
日本でも、外国でも、わらべうたには子どもの生活に必要な知識が得られるものが多いですよね。親子で口ずさみながら、子どもの世界を広げていけたら、毎日がもっと楽しくなりそうです。
『はらぺこあおむし』の世界をおいしく味わおう!
『はらぺこあおむし』が、なんとJ.S. PANCAKE CAFEに登場しました。カラフルで鮮やかな、まさにあおむしの世界!
はらぺこあおむしパフェも、とってもかわいらしいです。
私も、はらぺこあおむしパンケーキを食べてきました! ほうれん草味のきれいなパンケーキのあおむしと、あおむしが作中で食べたものをのせた、あおむしファンにはたまらないプレートです。
かなり盛り沢山なプレートなので、あおむしのように食べすぎておなかが痛くならないように注意してくださいね。親子やお友達など、あおむしファン仲間と一緒にシェアしながら食べてもいいいかもしれません。きっと、にこにこ笑顔で楽しい時間になること間違いなしです。
これらは、期間限定、メニューも変わることがあるようです。詳細は、必ずサイトでチェックしてみてくださいね。
J.S. PANCAKE CAFE公式HP → http://pancake.journal-standard.jp
※参考:『ベーシック絵本入門』生田美秋・石井光恵・藤本朝巳編・著、ミネルヴァ書房
※『はらぺこあおむし』の魅力たっぷり → 偕成社のスペシャルサイト
にこっとポイント
- 小さいお子さんには、『はらぺこあおむし』のボードブックもおすすめです。小さく、角もなく安全なので、持ち運びにも便利です。
- 大人になってから読み直してみると、新たな発見があるかもしれません。
(にこっと絵本 Haru)