PICK UP! 空のきれいな季節に……「飛ぶ」絵本
よるのえほん

『よるのえほん』バーバラ&エド・エンバリー作、木坂涼訳、あすなろ書房、2011 amazon

外が暗くなってきて、空には一番星が輝き、月も高くのぼってくる夜。ホタルは、あかりをともしながら飛び、ふくろうも、こうもりも、羽を広げます。そして、金色の目の猫たちも、夜の中で目を光らせています。

こちらは、夏の夜の大きな花火。「シュルシュルシュル~ パンパーン! めに とびこんでくる ひかりの くすだま おもわず とびだす やんやの かんせい」。

よるのえほん_中ページ

『よるのえほん』は、こんな風に、夏や秋、街や海や森の夜― わくわくするような、いろいろな夜の世界を描いた絵本です。

「赤」や「緑」で夜を描く、その色づかいに注目!

表紙の絵は、全体的にピンク色でぬられていて、窓の外と絵本の枠だけ青で彩色されていますよね。つまり、お部屋の中は「ピンクの世界」。絵本の中でも、「赤い世界」「青い世界」「緑の世界」と、夜がカラフルに描かれています。

たとえば、上で見た夏の夜は、赤色のフィルターがかかったような絵に、色とりどりの花火が登場しています。

このページは「赤」のイメージですが、次のページに描かれた秋の夜は、「オレンジ色」のイメージで、また違った印象です。

このように、場面ごとに、重点的に使われている色も変わっていくので、読んでいると、現実と空想の間にいるような感覚になります。そしてこの不思議な感覚が、おやすみ前にはとても心地よく、そのまま眠りにつけば、楽しい夢が見られそうです。

寝る前に読むには、ちょうどいい長さの絵本なので、『よるのえほん』を読んで一日を終わりにするというのも、素敵だと思います。

にこっとポイント

  • にぎやかな夜から静かな夜まで、さまざまな夜を、特徴のある色づかいをした絵で描いた絵本です。
  • リズミカルに訳された文は、まるで詩を読んでいるような気分になります。
  • エンバリー夫妻の描く、アメリカでも読み継がれているおやすみ絵本です。

(にこっと絵本 SATO)

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