「お姫様は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」というように、ハッピーエンドを迎える物語はたいてい「めでたしめでたし」で終わります。
そんなお話の始まりは、「むかしむかし、あるところに……」となるわけですが、この作品『めでたしめでたしからはじまる絵本』は違うのです。
『めでたしめでたしからはじまる絵本』デイヴィッド・ラロシェル作、リチャード・エギエルスキー絵、椎名かおる訳、あすなろ書房、2008 amazon
タイトルのとおり、「めでたしめでたし」から、お話が始まります。そして、どうして〇〇〇になったのかというと…… という風に、因果関係をさかのぼっていくんです。
さかのぼって、さかのぼって、結局、始まりはお姫様が大きなボウルいっぱいのレモネードを作るところに行きつくのですが、ここにたどり着くまでのお話は、読んでからのお楽しみにしましょうか。
原題は「THE END」。タイトルの訳もステキですよね。
随所にちりばめられる昔話のキャラクターですが、それぞれに一味違っていてそれもまた面白い。
描かれているイラストを、とにかく丁寧に見ていくことをおすすめします。
お話の因果関係がわかるのは、高学年くらいからかもしれません。大人の私も、さかのぼることに慣れていなくて、何度も読み返したくらいでしたから。
にこっとポイント
- 「めでたしめでたし」から、お話が始まり、どうして〇〇〇になったのかというと…… という風に、因果関係をさかのぼっていくお話です。
- この作品は、見返しのみならず表紙まで使ってお話が展開されています。レモネードを作ることになったのには、さらに理由がありました。本当のお話の始まりは、裏表紙のイラストからかもしれません。
(にこっと絵本 森實摩利子)