『きんぎょ』山本久美子、ひだまり舎、2020 amazon
「テンッテ テンテン ピーヒョロロー」おはやしの音が聞こえる夏祭りで、ケンは、妹と弟と一緒に、金魚すくいをします。
「そうっと ねらいを さだめて」「やぶれないように、すばやく」
さあ、金魚は何匹とれるでしょうか?
お祭りなどで金魚すくいをしたことがある人は、読むと、「そうそう!こんな感じだった」と雰囲気まで思い出して、共感するのではないでしょうか。
また、金魚すくいが終わり、金魚を家に持って帰ってからのことも丁寧に描かれていて、金魚への愛情が、とてもよく伝わってくる絵本です。
絵は、あたたかみのある版画絵で表現されていて、色の使い方にも特徴があります。
たとえば、この金魚すくいをした後の帰り道。夜の暗闇の中に、赤色で描かれた部分が、とても鮮やかです。
どのページでも赤色が、美しく際立つように描かれています。
特に、水槽とえさを買いにいった「きんぎょやさん」で見た大きな赤色の金魚は、目が奪われるほど魅力的なので、ぜひ絵本を手に取って鑑賞してみてください。
にこっとポイント
- 金魚すくいをして飼うことになった金魚の物語を、版画で描いています。表紙と裏表紙の金魚の絵は、つながっていますよ!
- お祭りに行く前や、金魚を飼う前に読むのにも、おすすめです。
- フランスで出版された『Quatre poissons rouges et un voile de Chine』(Lirabelle)の日本語版です。
(にこっと絵本 SATO)