追い出すはずの鬼を家の中へ招いてしまったら……?
『ふくはうち おにもうち』内田麟太郎文、山本孝絵、岩崎書店、2004 amazon
雪の降る節分の夜、「さむいよう、さびしいよう」と外で泣いていた鬼たちを、家の中へ招き入れたある男。鬼たちにお酒をすすめ、宴会のはじまりです。
家に帰ってきたおかみさんと子どもたちは、鬼を見て腰を抜かすほど驚きました。鬼を追い出そうとしますが、酔っぱらった鬼と男は、ますます陽気に騒ぎ出します。
そこへ、にぎやかなのが大好きな福の神がやってきて……。
いつもとは違う節分を楽しみたいときに、おすすめの一冊です。
鬼らしくない鬼と愉快な歌が魅力的!
節分といえば、「鬼は外、福は内!」。でもこの絵本では、福だけではなく「鬼も内」なのです。
男が鬼を家に招き入れる場面見られる、申し訳ないと恐縮している鬼らしくない鬼と、鬼だと知っていながら家に入れてあげる男の人のよさ。
「はいってもいいのか‥‥。おれたちゃ おにだぞ」と、遠慮する鬼を強引に家に入れる男の様子に、「どんな展開になるんだろう?」と期待もふくらみます。
そしてこの後、お酒をふるまわれた鬼たちが酔っぱらって歌い出す歌がまたおもしろい! 何度か出てきますが、毎回内容が変わります。たとえば、「かねが なければ かんかんかん かねは てんかの まわりもの まわり まわって なんじゃらほい」などなど。
読み聞かせでは、小学生からは「なんじゃらほいが好きだった」「一緒に踊りたい気分になった!」と、あるお父さんからは「毎年、鬼役をさせられているからか、なんだか少し救われた気分になりました」と、大きな反響がありました。
一度読むと、みなさん印象に残るようです。節分の前に、いかがでしょうか?
にこっとポイント
- 「鬼は外、福は内」という常識をくつがえし、鬼までも内に入れてしまう驚きの展開ですが、ハッピーな気分になれます。
- 表紙にも描かれているちらりと覗いているネズミたちは、ページの中にも描かれていますよ。
- 幅広い年齢層での読み聞かせにも、おすすめです。
(にこっと絵本 SATO)