子どもの世界と大人の世界、その大きな隔たりを超えるきっかけに。

おこだでませんように

『おこだでませんように』くすのきしげのり作、石井聖岳絵、小学館、2008  amazon

妹を泣かせてしまったとき、女の子に虫を見せて驚かせてしまったとき、給食を盛りすぎてしまったとき、ぼくはいつも怒られる。友達と喧嘩したときだって、本当は意地悪を言ってきたのは友達なのに、ぼくだけ先生に怒られる。そんなとき、ぼくは黙って横を向く。本当は「ええこやねえ」って言われたい。だから……。

七夕の短冊に、一生懸命願いを込めた男の子のお話。

子どもの本音に気づいたとき

関西弁の男の子の言葉で語られる、切実な思いに、読んでいる大人はどきりとさせられます。

実は、二児の母である私も、そんな一人です。

ちょうど1年ほど前、下の子が生まれ、上の子は不安定になりました。素直に甘えられず、イヤイヤという形でしか気持ちを表現できない。私も上の子に要求するレベルが上がってしまって、イライラしてしまうことも……。

そんなときに、この絵本を手に取ると、上の子はこんなに寂しい思いをしていたのか、と愕然とします。何をしても許せてしまった頃と比べて、いかに毎日追い立てているか―。

また、大人である私たちも、日々いろいろなものに追い立てられています。絵本の中のお母さんも先生も、きっと毎日一生懸命なのです。

子どもにも大人にも、それぞれ見ている世界、抱えている思いがあるのです。

おこだでませんように

私にとって、この1年は、本当に苦難の年でした。そして、その葛藤はこれからまだまだ続くであろうと覚悟しています。

けれど、子どもに何かを伝えるときには、感情で伝えずに、「口」で「叱る」。伝えたら、気持ちを切り替えてにこっとしたい。「怒る」には「心」が入っていますよね。いつもは難しいかもしれないけれど、それができたら、大人も、子どもの世界に触れられるかもしれません。

自分の本当の思いを分かってもらうこと、にっこりと笑って寄り添ってもらえることは、それは子どもにとって、とてもとても幸せなことのはずです。

『おこだでませんように』は、大人向けと言われる絵本ではありますが、他の人の気持ちに気づく、きっかけになる絵本だとも思います。また、どこで読む人の琴線に触れるかはわかりません。

ですから、まずは、皆さんに様々な絵本と出会ってほしいと願っています。それが私の七夕の願いです。

にこっとポイント

  • 「ええこやねえ」と言われたくて、七夕の短冊に、一生懸命願いを込めた男の子のお話です。
  • 大人向け、とよく言われる本です。でも、いろいろな人の気持ちに目を向けるきっかけにもなる絵本だとも思います。

 

(にこっと絵本 Haru)

おすすめの記事