PICK UP! ハロウィンに読みたい絵本

突然ですが、皆さんには、ストックしておきたい野菜がありますか? ジャガイモ、ネギ、ショウガ…… いろいろありますね。

今回ご紹介するのは、常備しておきたい野菜としても人気の、玉ねぎが主役の絵本です。『ごろりんたまねぎ』。

ごろりんたまねぎ

『ごろりんたまねぎ』いわさゆうこさく、童心社、2018 amazon

ころりん、ごろりん、いつも台所にある玉ねぎ。

その玉ねぎの茶色の皮をむいたり、白くなったのを切ったり、芽が出てきたのは土に植えてみたり。

ごろりんたまねぎ_中ページ2

玉ねぎの芽、花、種、大人にも見たことがないという人は意外といるような気がします。玉ねぎとねぎの違いは? 玉ねぎにどんな仲間がいるか、ご存じでしょうか?

「へー!」なんて感心しながら、どんどん読み進めてしまう絵本です。

特筆すべきなのは、写実的な絵の生命力あふれる美しさと、文章のリズムのよさ。

たてに さっくり きってみた
また はんぶんに きってみた
ぱらぱら ぱらり ばらけたよ

幼い子でなくとも思わず口ずさみたくなるような、かわいらしく、それでいて玉ねぎの様子にぴったりの表現がたくさん出てきます。もしかしたら、親子で「ぱらぱら ぱらり」「ころころ ころり」なんて言いながらお料理していたのを、いつかいい思い出として思い出す日がくるのかも?

しかも、そのオノマトペは、少しゆるっとした雰囲気の手書きの文字で書かれていて、それがなんとも愛らしいのです。

ごろりんたまねぎ_中ページ

大人の方に、写実的な絵の絵本をご紹介すると、「きれい」「教育的によさそう」と喜ぶ方もいれば、「理科みたいで難しそう」とちょっと腰が引ける方もいます。

けれども、このリズミカルな文章とカジュアルでのんびりした文字のおかげで、『ごろりんたまねぎ』は気楽に手にとることができるようです。

今、わが家の庭先は、まさに絵本の最終ページと同じ、「ごろりん たまねぎ ぶらさがり かぜに ふかれて いいきもち」です。屋根がないので、雨が降るたびに取り込まなくてはならないのですが(大変です!)、なんとも言えない、よい景色ですよ。

新玉ねぎを手に取ったら、思い出していただきたい絵本です。

にこっとポイント

  • 玉ねぎの生態がよくわかる、写実的な絵とリズミカルな文章が魅力的な絵本です。小さなお子さんから大人、高齢者まで楽しめます。
  • 「どーんとやさい」シリーズの1冊です。「知る」「育てる」ことで、野菜を身近に感じることができるので、食育にもぴったりです。

(にこっと絵本 高橋真生)

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